目白からの便り

成績表と人事評価

長野県の飯山にき、二つの国立大学の合同プログラムとして、留学生のためのキャリア設計のための合宿研修を行ってる。昨夜からかなり冷え込み、今朝は思い雪雲が低く居座り、積雪も深くなっている。アジアからきている留学生はこの雪の多さに驚くことであろう。

秋季(後期)課程は、横浜国大と東北大、学習大学を合わせて7講座を担当した。学習院大学は日本人の学生が主であるが、他は、留学生の生徒の数が圧倒的に多い。会社の人事評価も同じだが、定量的・定性的に評価をする難しさを痛感する。出席率は、もともとも数値化されているデータだが、出席率が高ければよいのかと、もちろんそうではない。できるだけ多面的にと提出レポート、授業での参画度なども加えて評価の客観性を試みる。しかしながら、学生に対して、なぜ評価をするのか、何を評価項目とすべきか、どのような評価プロセスを取り入れるべきか毎回悩みが尽きない。

企業の人事評価はその答えが明快である。評価の人事的な狙いは組織目標に適合する人材を長期的に育成、動機付けすることに重きが置かれている。実際の職場では、上司の主観的な判断や,「好き嫌い人事」があるのも現実であるが、企業人事担当の心意気は、もう少し異なるところにある。業績評価に対する公平感(fairness)は組織倫理の観点から外せない視点だが、それ以上に賃金体系の設計やその運用の意図の拠り所は長期的な事業戦略の実現に寄与する人的資源開発におかれている。また組織価値の品質を維持する企業理念の実践者を励まし続けるところにある。

私が多くを受け持つ留学生の実態に再び目を移してみると、文科省は、東京オリンピックが開かれる今年、2020年には留学生30万人計画を打ち出している。現在、留学生の日本就労率は、30%と低いが、絶対数の高まりとともに、確実に職場に異文化の人材が流入する。日本の雇用環境から、労働人口の絶対数の減少を多国籍人材で補わざる得ない実情もある。

こうした留学生の今後の推移を考えると、企業における人事屋として実務を担っていた自分の大学における役割に気づく。将来、日本の組織に多数入り込んでいく留学生達が、どうすれば組織適合能力を身につけることができるのかという命題に対し授業設計を行い、その習得度を評価体系に内在化させていくことにその答えがあるのだと。それと同時に日本人学生に対しては組織におけるキャリア競合者が急激に多国籍化していく事実を伝え、その上での備えと行動指針を考える場の提供を痛感する。

本日午前中予定している講義の内容は日本的経営のリアルをできる限りわかりやすく解説し、組織におけるキャリア形成の考え方と向き合い方について深く考える機会を提供できればと願う。

ただ、就職を希望する留学生には、選ばれるという視点で自らの個性と特異性を日本人に合わせ過ぎず留学生自身も企業を選ぶ立場なのだという強い意思をもつことの大切さを伝えたい。

今日一日が良い一日となりますように、深い悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

長野県飯山にて 竹内上人

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