目白からの便り

成績表をつけながら、新日本的経営の三種の神器を考える

早朝の都内は、薄い雲に覆われ、今までの耐えられないほどのしっとりとした空気の質感とは異なり、窓を開けても、幾分ではあるが心地よい外気を感じられるようになってきた。

ここ数週間、講座をもっている3つの大学の春季(前期)課程の採点に取り組んできた。講座数が少し増え7講座を担当することになった一方で、4年の年月が積み重なってきたので、プログラム自体の標準化も進み、春季は効率的に講義を進めることができた。

私の講座は講義と演習を行いながら課題の理解を深めていく為、よく生徒を観察しなければ、個人の評価は判断しがたいという悩みがある。
  
会社の人事評価も同じだが、人に対して定量的・定性的に評価をする難しさを痛感する。出席率や小テストは、数値化されているデータだが客観的な評価のプロセスの精度を高めるだけでいいのかという漠然とした悩みが取り除けない。なぜ評価をするのか、目的に合致した評価項目や評価プロセスをどのように取り入れるべきかの設計が難しい。

一方で会社の人事評価はその答えが明快である。期間業績に対する個人の実績に対する評価の公平性、客観性は組織倫理の観点から外せない視点だが、それ以上に、会社の人事評価の狙いは組織目標に適合する人材を長期的に育成、誘導することにその重きが置かれる。賃金体系の設計や運用の拠り所は長期的な事業戦略の実現に寄与する人的資源開発にある。また組織価値や企業ブランドの品質を高める現場の実践者に仕組みを通じて励まし続けるところにある。

長年にわたり企業で人事として実務を担っていた自分の大学における提供価値は、日本の企業組織にこれから参入する学生達が、どうすれば組織適合能力を身につけ、ひとり一人が活き活きと活躍できるのかという命題に対して、授業設計と習得度評価の体系の工夫に価値がるのだと思う。

今日は、都内で留学生教育学会(JAISE)の年次総会に出席する。プログラムの中のパネルディスカッションで「これからの外国人との協働・共生」について話をする機会をいただいた。生産労働人口が急激に減少する中、今後、日本企業は、外国籍社員を経営の貴重な実践力として活用することが避けられない。今回、「新日本雇用紀行」として、企業人事、転職支援、留学生教育のそれぞれ私が携わる現場で感じた風景と将来に向けての雇用課題に対する処方箋としてどのような取り組み施策が必要か、「人事制度」、「社内公用語」、「外国人就労支援」の3つの視点で「新日本的経営の三種の神器」の提唱を試みたいと思う。

今日一日が良い一日となりますように、深い悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

都内にて 竹内上人

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