目白からの便り

キャリアデザインの必要性 榊原先生の言葉

『仕事と生き方の問題については、結局のところ、自分が置かれたそれぞれの社会の中で。一人ひとりが自ら考え、行動していく他にないのである』これは、慶應義塾大学名誉教授で経営学者の故榊原清則先生の著書の中の言葉である。

この言葉は、榊原先生が書かれた、著書「キャリア転機の戦略論」に書かれていた。先生のキャリア理論は、その基礎に経営戦略論をおいている。私自身がキャリアコンサルタントとして、最も大切にしている概念の提唱者でもある。個人のキャリアについて、その多くが経済社会の中で活動することを考えると、主として組織活動に何らかの関係をもつ者にとって、大切な視点だと考えている。

書籍の巻頭には、「環境の様々な変化に対して企業は長期的に適応していくことが重要であり。そのためには戦略が必要であるが、ちょうどそれと同じで、人間も環境変化にいちいち左右されずに長期的に適応していくことが重要であり、そのためにはキャリアデザインが必要である」とある。

こうした、経済社会との整合性の中で自らのキャリを考える上で大切な視点について、私は、「キャリアデザインの3原則」として、今までの人事の経験を踏まえて考えてきた。

1.キャリアは取引される(商品価値として希少性のあるキャリア)
2.キャリアを買い手の視点で考える(押し売りしない)
3.キャリアは総力戦である(個人を超え、潤沢で良質な人的関係を築きあげる)

商品価値の概念、顧客起点の概念、ネットワーク資源の概念として、経営のロジックの中では、あたりまえのような構図であるのだが、自身のことになると、そうはいかないようだ。多くの方が、世間の標準化されたキャリアや流行のスキル、強すぎる自己実現と他者への強要、他者との関係と距離を置き、唯我独尊的な思考などの負のスパイラルに陥りがちでもある。これからも、環境変化にしなやかに対応しながら、長期的な視点で自らのキャリアについて考え、少しでも関係した方にその価値の効用について伝えていきたい。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2023年8月18日  竹内上人

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