目白からの便り

KY(危険予知活動)とEQの関係について その二

全国的に 新型コロナウイルスが再び広がりつつあり、経済活動と感染予防の両立や比重の置き方にどうバランスを取っていくのか経営者の方にとっても働き手にとっても困難な局面が続く。

『先週の週報から・・・事故を起こさない為の活動であるが、事故というのは身体に外的な傷を負わせるものだけでなく、仕事上の小さなミスを起こさないことでもある。その意味では優れた生産性向上活動でもある。・・・』  KY(危険予知活動)は、中央労働災害防止協会が全国のけん引役となっている。この団体は、労働災害防止団体法に基づき1964年に設立され、厚労省所管の認可法人から2000年に特別民間法人となった。

経営においても、キャリアにおいても危険とは隣り合わせでもある。私がマネジメント研修で使用する書籍に「カモメになったペンギン」(ジョン・P・コッター)がある。著者はリーダーシップで著名な研究者でもある。英文タイトルは、「Our Iceberg is Melting」(John.P.Kotter)。邦文タイトルだけだと中身が類推できないが、話の筋道は英文のタイトル通りペンギンたちの暮らす氷山が溶け出し崩壊する危険がありその対策に打ち出す様々な個性を持つペンギンたちの行動を描いた物語である。

人間は、自分にとって起こりつつある不都合な予兆に対して、「正常性バイアス(Normalcy bias)」が働く。バイアス(bias)とは、偏見、先入観の意で、問題が発生せず、普段と変わらず正常な状態がきっと続くであろうという偏った意識が働くという意。氷山で暮らす多くのペンギンも同じである。危険と隣り合わせていても、自分たちは大丈夫、今までも大丈夫だったからこれからも変わらず安泰が続くという正常性バイアスが働くのである。もう一つは、もし何か危険と具体的に対峙することになると、その対応の為に面倒な仕事や厄介な組織内調整プロセスが発生し、自分がその渦中に入ることを避けたいという衝動にかられる。余計な感情を使いたくないという感情的逃避がおきる。そして、せっかく稼働し始めた行動を促す感情のスイッチをオフにしてしまう。周囲にある豊富な知識や経験が仮にあったとしても活用できない主要な部分に感情の不使用がある。

KY(危険予知)の活動や行動は、何も事故や災害だけの危険回避に適用されるものだけではなく、企業の事業成長やキャリアの可能性への未対応といった積極的機会の損失にもつながる。「知識」とその知識にアクセスする為の「EQ/感情」のバランスにより危険予知に対する正しい行動に移れる。。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2020年7月24日  竹内上人

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