目白からの便り

教育プログラムとしての映像制作と芝居

みなさま

今朝の伊勢は、厚く、そして低く雨雲に覆われている。昨夜からの雨もまだその勢いが変わらず降り続く。神宮の方角にある山裾は低い雲なのか霧なのか深い緑に白い帯が薄く覆う。市内には食べ物や穀物を司る豊受大神宮(外宮)と天照大神が祀られ総氏神である皇大神宮(内宮)がある。伊勢の方は神社の束ねである社を伊勢神宮と言わず、束ねである敬意を示し「神宮」と伊勢をつけない。

「キャリアデザイン」の講座と「EQ (Emotional Intelligence Quotient心の知能指数)」講座の2つの講座を横浜国立大学と東北大学で、留学生を対象にした講座で担当する。4月から進めてきているので、学生間の交流も深まってきている。留学生が中心だが、日本人学生も交じり、異文化、言葉の壁を乗り越えて積極的にグループワークなどに取り組んでいるが頼もしい。

春季課程でのEQ講座は、秋季のEQ基礎講座のアドバンス講座としての位置づけとして映像を使用したグループ活動を試みている。EQ概念の理解を深める為にグループで3本の短編のビデオ映像を作成する。

今週、第2作目の映写会を行った。(1)上映前の監督・主演俳優・女優の舞台挨拶、(2)上映、(3)上映後の映像解説と続く。どんな内容になるのか期待が半分、不安が半分であったが、結果は予想をはるかに上回るものとなった。私自身が学生たちの力量の高さに驚愕する。EQで定められた各々の定義化された8つの感情能力(EQコンピテンシー)の機能をユニークな物語を通じて示し、それらを高める為の開発プログラムを紹介する。映像作品は、秋季講座のEQ基礎講座の教材としての活用も期待できる。

講義でEQの概念を学ぶことも大切だが、基本概念を理解した学生が、その内容を自分のアイデアで映像という作品を仲間と相談しながら創り上げる効用も高い。実際の理解浸透の評価は彼らの日常生活への応用動作に刻み込まれたか否かに委ねられるが、 学生の意気揚々として取り組んでいる顔をみると、この形式を試みて良かったと安堵する。

30年以上前、私自身の学生時代、芝居で、専攻で学んだことを舞台化した経験がある。「能力主義人事制度導入」に対する労使交渉をテーマにした。労使のそれぞれの視点で人事評価の理解が深まったし、芝居を創り上げる過程で人間的な関係ができた。私は脚本担当だった。当時の労働組合の執行委員長役は、今は大手企業の人事部長、青年部長役兼舞台監督は、朝ドラや大河ドラマにも頻繁に出演する俳優になった。
学生の優れた映像作品の映像を見ながら私自身の学生時代のその場面が鮮明に蘇る。映像や芝居は座学の効用を超える。そして作品自体が「次の世代の教科書」に変容する

今日一日が良い一日となりますように、特に悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

伊勢にて 竹内上人

関連記事

新着コラム

  1. 全世界が一つの舞台

  2. いやいやえん

  3. スペシャルオリンピクス チャリティコンサート

PAGE TOP