キャリアの作り方

操典

みなさま

今朝の都内は、どんよりとした雲とその隙間の透き通った青空のコントラストが際立つ空模様になっている。これから週末にかけて天候は予測通り崩れていくのであろう。

大学の春季課程の講義では、EQ(感情のマネジメント)とキャリアデザインの講義を並行して進めている。キャリアデザインの講座では、生徒が理想とする職業的な将来設計図面を描く。6月に入りキャリア計画書の到達点を考察する段階に入る。

一人ひとりの生涯の職業における歩むべき道筋を選択、決定する時、成り行きで考えるのではなく、計画して歩みを進めるべきであると繰り返し伝える。キャリアを設計する力は後天的なスキルである。一定の手順を踏むことにより、良質で筋が通った図面を描写できる。逆に手順を踏まないとわき道に迷い込み奈落に落ち込む。進むべき方向に迷った時、登山と同じように無謀な突進を避け、立ち止まり、引き返す勇気が必要だ。

生徒の職業選択の選択肢欄をのぞき込むと、恐ろしく突飛な記述に出くわすが、まだ出立前の準備運動の段階なので、ほほえましく感じる。
その一方で、経験を積み上げた段階で転職を考える方や、定年の年齢前後で新たな職業上の選択をしなければならない方で、本当に脈略のない選択をしようと試みている場面に出くわすと、なんとか物語性のある道筋を再考してもらえないかと思案する。様々な事情で窮地に立っていると、その選択の瞬間のエネルギーは博打の様で、周囲の冷静な声もかき消され耳に入らないのであろう。

「操典」とは、軍隊における用語なのだが、各兵種・兵法の教育及び戦闘における典拠書を示す。日常、緊急時において、取るべき行動の根拠、拠り所になる。

ひとり一人の日常生活における操典の備えの可否と良質さが、その人の異常時の立ち居振る舞いの鮮やかさを形成し、鍛錬を繰り返し、進むべき方向を堅持した安定感あるたたずまいを醸し出す。そうした空気をもつ人に人間は吸い込まれていく。

良質な決断をするためには、良質な思考の積み重ねが必要である。どのような過酷な局面に遭遇した時も優れた立ち居振る舞いを保つ自らの経験と思考の積み重ねで練り上げられた「操典」が不可欠なのだ。

今日一日が良い一日となりますように、特に悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

都内にて 竹内上人

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