目白からの便り

“働く”を学ぶ機会としてのインターンシップ

送りお盆の記憶は、たいてい夏休みに過ごしていた祖父母の家の前で燃やす送り火の記憶である。焚火からでる白い煙にのって、先祖の霊はお墓に戻るという慣習をその言葉の通り感じていた。感覚的には今もその気持ちは変わらない。幼少期から経験し続けている長い記憶の積み重ねは、身体の中心部までしみ込んでいる。

私の前期講座を受講していた留学生の女子生徒が、顧客企業である外資系ラグジュアリーブランドで夏休み期間中、インターンシップ(就業体験・実習)で就業を始めた。たまたま、親しい人事の方との好意によりその機会を得た。

以前の週報で、日本の雇用市場で、海外からの留学生に雇用の機会が少しでも仕組みとして構築できればと綴った。いきなり日本企業で働くより、日本に進出している外資系企業から就労の経験の機会を得られれば留学生にとって、少しは異文化体験も緩和され、馴染みやすいのかと感じる。

授業で学ぶことができない体験を学生時代に企業で経験することは、とても重要なのだと思う。私自身も学生時代、担当教官の紹介で、労働組合のナショナルセンターの書記局で大学2年生の時からアルバイトをした。大学の専攻が労使関係だったので、私にとってはとてもリアルな現場だった。当時は、今の連合という横断的なナショナルセンターができる前で、同盟、総評、中立労連、新産別と主要な労働組合の全国組織には4つあり、その中の京都同盟の事務局で働いた。19歳の当時から、人事や労働、雇用のリアルな世界に入り込んだことになる。

大学の講義の現場で、論理的な枠組みや知識・情報を伝える以上に、実体験の場は学ぶことが大きいと思う。これからもビジネスでの打ち合わせの場面で顧客企業の人事の方とお会いする時は、インターンシップの可能性を繰り返し相談しようと思う。
「先生、とっても楽しい!皆さんとてもいい方ばかり・・!」彼女の嬉しそうなメールを読んで自分も励まされる。

企業人事にとっても、新卒学生の採用環境が大きく変容する中で、実践的なインターンシップは今後とても重要なコミュニケーションパイプラインとなる。人材採用は、企業の生命線であると今でもそう確信する。私の大学卒業後、人事の最初のキャリアが採用であった。経営トップ自らとても高い関心事をもちサポートを受けた記憶が今でも鮮明だ。学生との接点は最優先で出張ってくれる。遅い時間に学生から送付された葉書に工場見学の呼び込みをしていると、…当時はインターネット環境での採用ではなく、葉書と電話かけのアナログ的な採用活動が主体であった…、通りがかった役員が「俺も電話をかけてやる」と自ら学生に電話をしてくれた。入社したての新人の私はその積極的な姿勢に驚いた。そして、会社も勢いよく成長していた。

今日一日が良い一日となりますように、深い悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

移動中の車内にて 竹内上人

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