目白からの便り

10,001回目のチャレンジと高倉健

早朝の松本は、昨夜の激しい雷雨から、暑い雲に覆われてはいるものの青い空の部分も所々に見え太陽の光も差し込んできている。ただ、日中は少し不安定な天候になりそうで用心が必要である。

『・・・最後に若干提言を書き加えたい。現在、障害者個人が各々自立して民間企業で活躍することがノーマライゼーションの観点からいってもっとも大切なことは周知のことである。しかしながら、重度の障害者を持ってる方全員にこれを求めていくことは非常に難しいと思う。最近各地域に障害者をもつ父兄、支援者の方々が中心となって障害者の生活面でのケアもできる作業施設設立の動きが盛んになってきたが、経営的に事業展開するのが非常に厳しいのも現実である。こういった施設に対して官庁、民間が業務発注すれば、発注元の雇用率にカウントできるようなしくみが法的に整備できないだろうか。・・・』 平成9年8月発行 日本障害者雇用促進協会 「障害者とともに働く」より抜粋。

私が、今から約22年前の34歳の頃に寄稿した文章である。前職で障害者雇用の担当者として、知的障害者のクリーンルームで使用する防塵服のクリーニング工場を重度障害者多数雇用事業所施設の適用を受け設立した時期のものである。10名の新規知的障害者雇用、3億円の設備投資。社内の起業家公募制度を活用して取り組んだ。

最近話題になっている障害者雇用率だが、当時は(民間企業適用)が1.6%から1.8%に変更される時期であった。現在は、2.2%に引き上げられ、対象も身体障害者から知的障害者、精神障害者に適用拡大されてきている。行政の指導もあり、世間の関心も、企業経営者の認知も高くなってきた。それでも、企業の障害者雇用担当は、経営の十分な支援や関心を受けられず、今でも恐らく孤独な戦いをしていると思う。経営トップの関心は、もっとファッショナブルな人事制度改革や人材確保、人材育成にある。

障害者の雇用環境インフラの構築が、私が5年前に自らのビジネスをスタートする起点でもある。事業理念の中に、障害者の働く小規模施設に民間企業や行政機関から仕事を受け渡すインフラを構築したいということを示した。本当に実現できるか、妄想に終わるのか、勇気づけられることがあったり、気分が滅入ることがあったりと心が常に揺れ動く。

現在取り組んでいる人材紹介や中堅・中小企業向けの人事・経営の業務支援事業は、転職を希望する候補者の方や、企業の経営者、人事の方など人を知る機会が多い。自分の夢を実現するために少しでも多くの理解者を得るためには、最適な環境である。

『できるかできないか、そんなことはどうでもいい、人間は何をしたかではなく、何をしようとしたかが大切なんだ』、こんなようなセリフを俳優の高倉健は役柄を通じて語っていた。

先日、あるミュージシャンの歌を聴く機会があった。10,000回だめで、へとへとになっても、10,001回目は変わるかもしれないという歌詞のメッセージ。勇気づけられ背中を押される。

今日一日が良い一日となりますように、特に悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

(お知らせ)
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松本にて 竹内上人

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