『人に大切なものは、 知識よりも才能よりも何よりも真剣みであり、純潔な情熱である』
情熱なきところいかなる能力も開花するはずがない。情熱はあらゆる創造の源泉である。芸術家にあれ、科学者であれ、経営者であれ、誰もが感嘆せずにはいられないような仕事を成し得た人は皆自らの仕事に情熱の限りを尽くした人に他ならない。
安岡正篤(やすおか まさひろ) 1898.2.13-1983.12.13 思想家。戦後日本の経済、政治の世界に多大な精神的な影響を与えた人物。
所感:
安岡正篤の言う「真剣み」と「純潔な情熱」は、知識や才能をはるかに超えて人を突き動かす力だと、改めて思う。確固たる信念と理想を持ち続けて歩んでいると、必ずどこかで突破口が開けてくる──これは私自身の経験とも重なる。
20代のころ、私は腕時計工場で働いていた。前職の時計事業は、世界で初めて水晶振動子を用いた腕時計を世に送り出した「マーベル」ブランドを擁していた企業である。1950年代、日本の時計産業がまだ機械式中心だった時代に、マーベルは精度と耐久性を極限まで追求し、国産時計の品質基準を一段引き上げた存在だった。
その開発に携わった技術者たちは、まさに熱意の塊であったのだろう。精密機器を扱う現場には、妥協を許さない職人の気迫と、ものづくりに向き合う真剣さが満ちていた。そうした環境で、上司がよく口にしていた
「やる気、根気、本気。本気でやれば誰かが助けてくれる」
という言葉は、相田みつを氏の言葉であるが、私自身も本気で取り組んだ時に、思いがけない助力が現れる場面を何度も経験した。
稲盛和夫氏の言葉として、「天才とは天の力を借りられる人」であると言われてきた。では、どのような人が天から力を借りられるのか──その答えとして示されていたのが、「自らの職業にどれだけ情熱を注いでいるか」という一点である。
結局のところ、情熱こそが人を動かし、道を開き、周囲を巻き込み、時に天の後押しさえ引き寄せるのだと思う。腕時計工場で働いていた若い日の体験も含め、情熱なきところに能力が花開くことはない。情熱は、人生のあらゆる創造の源泉でもある。
2026年8月21日
(McKEN木鶏会のバックナンバー)
https://mcken.co.jp/category/mokkeikai/
(e-learningの情報 人事やキャリアに関する講座)
https://mcken.co.jp/e-learning/
