目白からの便り

5S3定(ごえすさんてい)と操典(そうてん) その一

早朝の松本は薄い雲に覆われ、天気は少しづつ崩れてきそうである。

先週末に支援をしている環境リサイクルの会社で「5S3定(ごえすさんてい)」活動の成果発表会に呼ばれた。製造業に属した方であれば馴染みの言葉でもあり、QCD(品質・コスト・納期)を守るための基本だが、他の産業に属していると聞きなれないかもしれない。私の会社から、長年モノづくりの管理・監督経験があり、大先輩にあたる方に指導をお願いしていた。5Sとは、

整理(Seiri せいり):必要なものと必要でないものを区別する
整頓(Seiton せいとん):必要なものをすぐに取り出せ、活用できる状態にする
清掃(Seisou せいそう):必要でないものを廃棄する  以上の3つで3S(さんえす)と呼ぶ
清潔(Seiketsu せいけつ):整理・整頓・清掃された状態を保つ
躾(Shitsuke しつけ):習慣づけして守り、職場慣行に熟成する(ルール化も含め)
3Sまでが、実現すべき目標状態を示し、最後の2つのSでその状態を維持することを促す。

3定(さんてい)とは、5Sの整頓の目標とする状態を示した基準であり、
定位:定められた場所に部材や治具工具などのモノを置くこと(定位置)
定量:上記の置くモノは一定数量を保つこと
定品:定められたモノを置くこと  を意味する。私も新入社員の頃、現場実習先の腕時計の製造部長に厳しく5S3定は指導された。さらに、凡庸とした私は、灰色の作業服の袖のボタンをはずしていれば叱られ、机に腰かけると怒鳴られた。所作に留意し、『来た時よりも美しく』を徹底された。(職場は、帰社する時は、出社した時よりも美しくなっていることの意)。袖のボタンは、工作機械への巻き込み防止であり、机などの寄りかかりは転倒防止である。安全意識が先のQCDに一層の磨きをかける。

会社に到着すると、今回の成果発表会を担当する若い課長の方がにこやかに出迎えてくれた。作業の後なのか、額には汗のしずくが流れる。派遣した指導者の方も、若い社員と同化していたのが印象に残る。2階の大会議室に案内されるのだが、社員の方はスリッパをはくことなく階段を昇降する。差し出されたスリッパをはく自分が気恥ずかしくなる。「環境リサイクル」の仕事、彼らは、新型コロナウイルスの時も休むことなく、私たちの生活インフラを生命の危険と向き合いながら懸命に守ってくれていた。必要不可欠な職業人「Essential Worker (エッセンシャル ワーカー)」なのである。 (次週に続く)

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2020年7月3日  竹内上人

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