目白からの便り

成績表をつけながら気づく仕事の意義

みなさま

今朝の伊勢は本当に晴れ渡った空が広がっている。寒さは引き続き続くのかと思うが,太陽の光の強さが緩和しそうである。

大学の秋季課程(後期課程)も今週で終了し成績表をつけている。妻は高校教諭なのでいつも、採点や通知表づくりに悪戦苦闘してる様子を無責任に眺めていた。しかし、いざ自分が担当すると難しい。

秋季課程は、横浜国大と東北大を合わせて5講座を担当した。その多くが海外からの留学生である。会社の人事評価も同じだが、定量的・定性的に評価をする難しさを痛感する。出席率は、もともとも数値化されているデータだが、出席率が高ければよいのかと、もちろんそうではない。できるだけ多面的にと提出レポート、授業での参画度なども加えて評価の客観性を試みる。しかしながら、学生に対して、なぜ評価をするのか、何を評価項目とすべきか、どのような評価プロセスを取り入れるべきか毎回悩みが尽きない。

企業の人事評価はその答えが明快である。評価の人事的な狙いは組織目標に適合する人材を長期的に育成、動機付けすることに重きが置かれている。実際の職場では、上司の主観的な判断や,「好き嫌い人事」があるのも現実であるが、企業人事担当の心意気は、もう少し異なるところにある。業績評価に対する公平感(fairness)は組織倫理の観点から外せない視点だが、それ以上に賃金体系の設計やその運用の意図の拠り所は長期的な事業戦略の実現に寄与する人的資源開発におかれている。また組織価値の品質を維持する企業理念の実践者を励まし続けるところにある。

私が多くを受け持つ留学生の実態に再び目を移してみると、文科省は、東京オリンピックが開かれる2020年には、留学生30万人計画を打ち出している。現在、留学生の日本就労率は、30%と低いが、絶対数の高まりとともに、確実に職場に異文化の人材が流入する。日本の雇用環境から、労働人口の絶対数の減少を多国籍人材で補わざる得ない実情もある。

こうした留学生の今後の推移を考えると、企業における人事屋として実務を担っていた自分の大学における役割に気づく。将来、日本の組織に多数入り込んでいく留学生達が、どうすれば組織適合能力を身につけることができるのかという命題に対し授業設計を行い、その習得度を評価体系に内在化させていくことにその答えがあるのだと。4月から始まる春季の講義設計に取り組むモチベーションも刺激される。

今日一日が良い一日となりますように、特に悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

伊勢にて 竹内上人

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