目白からの便り

100年の人生を考える 長期収支金融シミュレーション演習

今週は大学の講義で、長期的な金融シミュレーション策定演習の発表会を行った。キャリアと生涯設計は密接に切り離せないと考えて組み込んだ実習演習でもある。学生は、目前に迫った自分の就活に精一杯なのであるが、長いキャリアにおいて就活はゴールではなくスタートラインの準備運動のようなものである。

80歳までの収入と支出の動き、結婚、出産、住宅取得、親の介護など、当たり前のように私たちを待ち受けているライフイベントをお金の動きで換算する。実際にキャリアコンサルタントとして転職の相談を受ける現場では、悩みの根源が、仕事の課題ではなくプライベートな課題や問題に直面してキャリアの選択を迫られているケースも多い。

収支が合わずに「何度もやり直しました」、「自宅購入は中古物件のリフォームに変えました」という学生の発表を聞きながら、「人生のキャリアをどのように構想していくか」という、長い視点での問いかけに自分自身も振り返る気づきを促される。

以前から生涯を大きく4つの周期に分けてみることを意識してきた。人生100年、それぞれを25年ずつ区切ってみてはどうか、という考え方である。 例えば、25歳までは自立のための基礎体力や思考力、人間性を形成し磨く時間。そして50歳までは、自身の将来像やビジョンを明確にし、それに向けて自分や家族の生活、環境を整えていく期間。50歳から75歳までは、その構想に全力で挑戦する時期。そして75歳からは、得難い幸運として与えられた時間を、これまでの道のりを振り返りつつ、今まさに奮闘している友人や家族をあたたかく励まし見守る時間としてとらえていく。

こうした人生の周期を考えるというのは、どこか四季の巡りと重なる。春に芽吹き、夏に勢いを増し、秋に実りを収穫し、冬には静かにその日々を振り返る。古の先人たちが人生を春夏秋冬になぞらえたように、私たちもまた、おおまかな周期ごとに自分の果たす役割や歩みを見出していけるのだと思う。

もちろん、必ずしも25年ごとに人生を区切る必要はない。一人ひとり異なる環境や条件のなかで、自分だけの節目や歩み方があって当然である。ただ、こうして人生全体を俯瞰し、長いスパンで自分のキャリアや生き方の道筋を考えてみることも、時には大切なのだと感じる。計画通り人生はいかない想定外の連続でもある。人生を航海にたとえるとしたら、マストが折れることも、エンジン不調のことあるだろう。また、座礁してしばらく身動きが取れない時期もあるだろう。それでも人生行路の海図と羅針盤をもつことで、希望は失わない。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2025年7月10日  

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