目白からの便り

リーダーの要件:相手へのリスペクト(Respect 敬意)と自己へのサスペクト(Suspect疑念)

企業研修でリーダーを題材としてプログラムを提供することが多くある。リーダーシップではなく、リーダーをどのように育成するかというテーマである。特に次世代の経営や組織を担う人材をどのように育てるかという課題となる。単純に研修プログラムでリーダーを育成できるわけでもなく、その過程には、誰を人選していくかという選抜のプロセスが必要であり、どのような実践的な経験ができるかという配置の工夫のプロセスが必須であり、将来のマネジメントチームとしての人材の組み合わせのデザインが欠かせない。研修プログラムはそのいくつかある総合的な仕組みのほんの一部でしかない。

 

研修プログラムは、そうした一部であるが、研修プログラムの中でできうることは多面的に試みたい。チームや組織をうまく構成し、運営していくためにはどのようなことが必要なのか、企業で積み重ねてきた人事の実務家として、日本の組織を牽引する人に必要な基本要素を可能な限り伝達することに注力したい。

 

組織の規模を問わず、リーダーとして意識すべき行動の観点として留意すべき視点として、私は、「組織性」、「共同性」、「後継性」、「成長性」が大切であると考える。

「組織性」とは、組織図を構成する機能組織との関連性や力学的なメカニズムの理解と相互の立場を尊重しつつも補完する姿勢を怠らない優れた立ち居振る舞いであり、「共同性」とは、同時進行的に進む仕事と人のマネジメントの感情の機微を感じ取った血の通った最適化であり、「後継性」とは、自己の業務の見える化、標準化によってほかの人に仕事のノウハウ・コツ・ツボを愛情をもって継承していくおおらかな奉仕の心境であり。「成長性」とは、その組織に所属することによって得られるキャリアと人間性の将来へのリアリティアある成長の予感の意識的で、継続的で、献身的な付与の所作でも有る。

 

研修を進めながら、自分もうまくできてこなかったのだと、深い自覚と反省の連続の冷や汗をかきながらの講義になる。本当にそのことが正しいのかという自問自答の葛藤の中での提示であり、現在の立場でもその言葉の実行を失敗と繰り返す。

 

絶対に正しいということは、現実的には希である。向き合う相手が社会であっても、特定の個人であっても、主体と客体という相互に独立した関係である以上、変数の要素は多岐にわたる。それが経時的に変化し蓄積される。リーダーへの道のりは、相手へのリスペクト(Respect 敬意)と自己へのサスペクト(Suspect疑念)がなければ成り立たない。すこぶる厄介な難問であり、修養の機会でもある。

 

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

 

2023年10月6日  竹内上人

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