目白からの便り

リーダーシップとフォロワーシップ

大学の講座の中で「チームビルディング(Team Building)」を主題に置いた講座がある。日本企業、外資系企業の事例をベースにどのような組織マネジメントが「働く人たち」のモチベ―ションを高めていくのかをそれぞれ企業の仕組みを紐解きながら考え、最終的に自身が経営者になり、理想の組織を構築する場合、どのような組織体制やシステムを組み入れるのがもっとも適しているかを考案する構成にしている。

組織が信頼関係に基づく良質なコミュニティになるには、健全なリーダーシップだけでなく、相互に尊重しあうフォロワーシップも大切な要素になる。良いリーダーになろうという意識は持ちやすいが、よいフォローワーになろうという気づきは失いがちである。相互のちょっとした気遣いが、上司と部下の信頼関係を強固にしていく。そして良質なメンバーシップに凝固されていく。

「信頼」が「信頼」を呼び寄せ、よいチームになるのだということを改めて深く胸に刻む。相手を思いやり、言動に移すことは、実はなかなか面倒である。それでも、勇気を振り絞り、面倒がらずに、ちょっとした相手を気遣う言葉や動作を投げかけることが、良質な人間関係や優れた組織づくりの最初の第一歩になる。

「一期一会」、茶道を確立した千利休の言葉とされる。「路地ヘ入ルヨリ出ヅルマデ、一期ニ一度ノ会ノヤウニ、亭主ヲ敬ヒ畏(かしこまる)ベシ」。「一期」はもともと、仏教がその起源とされ、人の一生を示す。人生におけるすべての出逢いや出来事は、取り戻すことができない真実の機会でであり、その時をできるだけ、優れた立ち居振る舞いで向き合い、乗り切ることの総量の多さが、信頼の厚みにつながる。

リーダーシップを担う場面、フォロワーシップを遂行する場面、メンバーシップに徹する場面、今日も様々な場面の一期一会の時を積み重ねる。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2022年11月4日  竹内上人

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