目白からの便り

自分のキャリア 脳に汗がかくほど考え、あきらめずに続けること

前職のキャリアの後半は、人事を離れて、経営管理や事業戦略に関わる仕事をしていた。この時期は、10月から始まる下期方針大会の場に向けて、戦略の進捗と新たに直面している事業課題について、体系的に整理する時期でもあった。かなり集中した時間を長くとり、基本的な事業の構想設計や詳細設計を関係する方たちと、論理の筋道が正しいかを何度も何度も繰り返し、全体に伝える為の物語を練り上げた。驚く方も多いかもしれが、一日中、深夜まで、特別に確保された集中検討の為の会議室に閉じこもっていた。その時に時間を共有した方たちのことを思い出す。ほぼ1カ月、この方針大会の為だけの時間と向き合う。

日常の業務の中の一つ一つの業務を、効率よく回転させていくことはとても重要である。その一方で、集中して考えることはロジックの整理に加えて、新しい発想の扉を開く行脚でもある。新たな気づきは、突然ひらめくものではなく、経験上、深く、継続的な思考の連続の中にあるような気がする。ある経営学の教授の研究室の壁に貼ってあった言葉が印象に残っている。「脳に汗をかくほど考えろ」。中途半端な思考が脆弱で、芯のない計画や施策を生み出す。どのようにまとめたらいいのか、そのアウトラインの出力イメージが定まらず、納期や提出の期日が迫っても取り掛かりに躊躇することもある。そんな時でも、あきらめずに考え続けることである。そして、少しだけでもそのことについて手を動かしてみることを繰り返す。今日は進まなかったが、明日は進むかもしれない。

そして、結論の品質を厳しく自分自身に問いただすことも、時には必要である。品質管理の基本動作の中に、「なぜなぜを3回繰り返せ」という格言がある。思考を止めず、奥深くまで掘り下げていくと真理に近づく。 企業で品質トラブルを起こした時に表面的な解決策と、困難な職場調整を避け、「作業標準書・手順書の見直し」とか、購入業者・取引業者の変更などという解決策で、その場をやり過ごす場面を経験してきた。問題の核心はそこではなく、たいていの場合自分自身にその真因が潜んでいるものである。

自らのキャリア設計も経営戦略と似ている。自分自身のキャリアドメイン(領域)を設定し、自身が積み上げたコアコンピタンス(強み)とキャリアコンペティター(キャリア上の競争相手)との対比分析を重ね、目標を定め、達成シナリオを描く。できれば定量的に分析するといい。膨大な時間がかかるし、とても面倒な作業であるが価値があるのだ。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2022年9月9日  竹内上人

 

 

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