目白からの便り

リーダーとして意識すべきこと チーム作り4つの視点

はやいもので、来月の10月からは、大学の秋季の講義が始まる。後期の授業は、リーダーシップ、感情能力としてのEQ(Emotional Intelligence Quotient)の要素とキャリア設計の要素を軸に構成している。そこからチームビルディングについても気づきを促す。人があるチームを率いる立場に立った場合どのように立ち居ふるまい、どのように良質なチームを構築するかについて深く考える機会にしたい。他の人と一緒に仕事をすることは、仲間との共同作業を通じて感じる楽しさや支援の心強さを感じる反面、相互理解をしあうことの難しさに戸惑うことになる。またチームの所属が、他のチームの存在を意識させ、チーム間の競争関係が生じるとともに、チーム内における協調の環境も形成される。チームという小集団の競争と協調は、働き手の組織への関与である組織エンゲージメント(Engagement)を強めるであろう。

チームをうまく構成し、運営していくためにはどのようなことが必要なのか、企業で人事の経験を積み重ねてきた人事屋として、日本の組織が働く人に求める基本要素を可能な限り伝達することに注力したい。特に生徒の大半が留学生だということを考えると、日本企業のリアルな職場で求められる要求事項のあれこれについても、並行して学べる場になればと願う。

組織の規模を問わず、リーダーとして意識すべき視点として、「組織性」、「共同性」、「後継性」、「成長性」が大切であると思う。「組織性」とは、組織を構成する機能組織との関連性の理解と相互の立場を尊重しつつも補完する姿勢を怠らない立ち居振る舞いであり、「共同性」とは、同時進行的に進む仕事に対するメンバーの行動と感情の最適化であり、「後継性」とは、自己の業務の見える化、標準化によってほかの人に仕事のノウハウを愛情をもって継承していくおおらかな奉仕の心境である。「成長性」とは、その組織に所属することによって得られるキャリアと人間性の将来へのリアリティアある成長の予感の意識的な付与である。チームは、リーダーシップが希求されるが、それと同時にメンバーのフォローワーシップも求められる。誠実で強固なフォローワーシップをひきだすことは、権威や権力では難しい。リーダー、フォローワー両者の相互の誠実な姿勢によって、卓越したメンバーシップが形成され、最良のチームに昇華する。

自分もうまくできてこなかったのだと、深い自覚と反省の連続の冷や汗をかきながらの授業になるはずだ。現在の立場でも同じように失敗と反省を繰り返す日々でもある。良質な組織づくりは、相手へのリスペクト(Respect 敬意)と自己へのサスペクト(Suspect疑念)がなければ成り立たないのであろう。すこぶる厄介な難問であり、修養の機会でもある。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2022年9月16日  竹内上人

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