目白からの便り

難民 ワーキング・マイノリティーが持つキャリアの可能性

Refugee「難民」。 この言葉から私たちはどういった人たちを連想するであろうか。 悲惨な境遇を経て、 祖国を離れざるを得なくなった人。 政治的な体制変化により、祖国で家族とともに安全な生活を送ることができなくなった人。思想的な 活動するために 祖国を離れている人、さまざまな 捉え方や印象があるのだと思う。「難民」という語感から、ネガティブな印象をもたれる方もいるのかもしれない。

UNHCR(United Nations High Commissioner for Refugee)国連難民高等弁務官事務所(1950年に設立された国連機関の一つで、 紛争や迫害により国境を追われた難民・避難民を国際的に保護支援し難民問題への解決に向けた活動を行っている機構)による定義では、

難民とは、「人種・宗教・国籍・特定の社会的集団の成員資格・政治的意見を理由に迫害されるという十分に理由のある恐怖のために国籍国の外におり、かつ、その国の保護を受けられないか、そのような恐怖のためにそれを望まない者」を指す。

私たちの世代では、国連難民高等弁務官としてすぐに思い浮かぶ方は、故緒方貞子さん(1927.9.16-2019.10.22)である。彼女は、日本のロータリークラブの2人目の奨学生として1951年に米国に留学する。私も縁があって、ロータリークラブに所属し、昨年から2600地区でロータリー財団が主催する奨学金の担当をし、日本から留学する学生の支援の役割を与えられている。

今週、私の友人で、日本に逃れてきた難民の方々に日本でのキャリアを支援する活動をしている渡部カンコロンゴ清花さんと話す機会があった。彼女とは昨年8月、国際教育研究コンソーシアムのシンポジウムのパネルディスカッションでご一緒した以来の縁である。今でも私の表参道のオフィスにかわいいお子さんを連れてきてくれた風景が鮮明に脳裏に焼き付いている。「とびきり、明るく、しかし、誰もが関わることに躊躇する困難なテーマに対峙し、頑張っているのだと」と彼女に関する私の印象は、緒方貞子さんそのものである。

今週、2月12日の土曜日、ちょうど明日がその日になるのだが、14時から16時で、彼女が代表を務める「NPO法人WELgee」が主催し、日本で就労を望む難民の方を就労者として受け入れ、活用している企業の事例紹介のセミナー(参加費無料)を行うという。(コラム巻末に参加申し込みのURLを掲載)。是非、時間に都合がつく方は立ち寄っていただければと願う。

日本においても、難民を就労者として、働く職場で共生を試みている企業も増えてきている。その事例を通じて 難民の方の日本でのキャリアの可能性を考える機会になればと願う。日本で就労を試みる難民の方は、「ワーキング・マイノリティー」であると思う。少数派が環境から得られる、キャリア上の優位性は、試練に向き合い、艱難を味わい、忍耐を求められ、練達を通して、親和を希求する精神なのだと思う。受け入れる企業にとって、要員不足を補うだけの人的戦力を超えて、組織そのものに大きな活力と希望を伝播する起爆剤になる。人事屋を長く経験していて、少数派でありながら就労の環境に身を置く人たちの力づよさは、組織にとってはかけがえのない財産になると実感する。

渡部さん、頑張って!

【セミナーのご案内】

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000032891.html

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2022年2月11日  竹内上人

 

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