目白からの便り

留学生という社会資本との向き合い方

「異なる価値観の人たちと、楽しく真面目に深く交流することで、若い世代にそれぞれの判断の基軸となる原理原則が確立されていくことになる。そしてそれは多様化に質高く対峙する社会資本としてもとても大切なような気がする。」

5年前に書いたコラム週報の一部分である。今年4月から、私の会社でもフランスの大学院で学ぶ留学生を5ケ月間受け入れる。彼女にとっては、日本での生活ははじめてということもあり、言語はもとより、生活環境もおそらく戸惑うことになるのであろう。

国際的な視点からみると、相対的に均質化された日本の社会の中で、変化の兆候を感じ、健全な意見の対立に謙虚に、明るく、前向きな気持ちで向き合い、改革の道筋を構想し、仲間を集め、現実的に進めていくことの素養を二十歳前後で修養する機会の一つの場として、多国籍の留学生の資源を活用することは、日本人学生にとって、良質な基礎教育に極めて有意義であるとの思いが私にはある。

そして、こうした人材育成の着眼点は、学校教育現場だけの課題ではなく、絶え間ない事業成長、多様化・国際的関係の中で仕事と向き合わなければならない企業における管理監督者、社員一人一人にとっても大切な基礎力になる。基礎力がないと積み上げてきた経験に基づく実学も応用反応しない。

ある講演会で企業人事の実務家としての視点、大学での留学生教育の現場からの視点、流動化が進む転職市場からの視点の三つの視点に立ってそれぞれの現状と問題の構造と処方箋案について率直に自らの考えを述べることであった。現実的なモデルの一つとして、留学生と豊富な国際的経験を積んだ企業経験のあるシニアエグゼクティブの融合による経営・組織支援構想の枠組みついても提言してみた。迫りつつある労働力の量と質の構造の変化に対して、大学、企業、行政のそれぞれの立場で果たすべき役割の重要度は重みを増している。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2023年3月10日  竹内上人

 

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