目白からの便り

ビジネスアスリートと集団が秘める効用

みなさま

新年あけましておめでとうございます。日本列島は寒波に包まれ、首都圏も昨日は雪が降り積もる。早朝の気温は低いが、渋谷付近の天候は、快晴で爽やかな空が広がっている。

幼少期のお正月の過ごし方として、元日は実業団によるニューイヤー駅伝、2日から3日は箱根駅伝と正月三が日は、午前中からお昼過ぎまで実家の居間では毎年テレビ中継が流れていた。その風景は今でも変わらない。父親自身が実業団でニューイヤー駅伝に出場していたこともあり、85歳を超えた今でも所属企業の後輩たちの走りを毎年楽しみにしている。 テレビで流される箱根駅伝の映像を見ながら、毎年、自分自身が鼓舞され共感する。選手ひとり一人が、絶え間ない仲間との切磋琢磨を通じた日常を送りながら自身を練達し続けてきたことを知るからこそ心を動かされるのであろう。

7年ほど前からBusiness Athlete (ビジネスアスリート) 「職業競技者」という概念を考え続けている。人事を長く担い、人事評価の仕組みの中で、働く人たちが良い評価をもらったり、昇進や昇格をしたりする場面に立ち合い、意向に沿わない人事に辛酸を味わいながら受け入れていく場面に多く立ち会った。その一瞬一瞬に喜んだり悲しんだり、悔しい思いを感じてきたことであろう。もちろん自分自身も企業にいる時はその渦中にあった。 私は、大学時代も労使関係という学問を通じ賃金を勉強していた。ある時指導教官が人事の世界の中にもスポーツの世界と同様に、「爽やかなスポーツの精神」があってしかるべきだと熱心に話されたことを今でも鮮明に覚えている。

「職業」という競技において自身の目標を設定し、それに向けて日々、練達をし続けること。仲間と共に切磋琢磨をすること。優れた職業倫理観を厳しい局面におかれた時でも堅持すること。職業上のルールの中でスポーツ競技と同じような「結果」を受け取ることになるが、どのような評価結果でも肯定的に捉え、次の試合へ向けて再び前に向かって進んでいく爽やかな精神さえあれば職業人生も楽しい世界に変容する。

昨年からこのビジネスアスリートという概念に加えて、「集団の価値」を意識するようになった。個々人の頑張りは、個人だけに向けられるのではなく、価値を共有するチームという所属する集団にも向けられる。集団の一体感や将来の機会に向けての目標の共有は個人を前に進ませる励ましを与える。個人の鍛錬と集団としての一体感が、絶妙な活力を生み出し、絶望的な状況でも突破口を見出すことができる。また、 集団間の健全な競争は、その一体感の練度と相互信頼関係を増幅させる。たとへ、個人記録が卓越した結果になったとしても集団としての充実度が低ければ個人の喜びは陰りを見せる。

年初を迎え、私自身の今年のテーマとして、このビジネスアスリート(職業競技者)の体系化と「集団の持つ効用」について深く考える一年でありたいと誓う。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。特に解決が困難で絶望的な局面に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2022年1月7日  竹内上人

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