目白からの便り

KY(危険予知活動)とEQの関係について その一

早朝の名古屋の天気は、灰色の雲に覆われ、今日も長い梅雨の雨が降りそうな気配である。

今年になり何度か企業研修で EQ (Emotional Intelligence 心の知能指数)をベースにした管理職研修や社員のキャリア向上の為の研修を実施してきている。直接的に管理職研修や自律的・主体的なキャリアプログラムを実施したいのだが、問題はより深刻で自己理解や他者理解が苦手で適切な対話(コミュニケーション)が上司・部下双方とも一歩的になったり、相互理解できないまま不十分な状況に陥ったりすることが多いのだとも実感する。自分自身も人事担当者として、人材育成をスローガンとしての「OJT」として職場に一方的に委ねてしまってきた反省も抱く。

EQのプログラムで、他者理解のテーマで話している時、相手の気持ちを瞬時に理解し適応する能力について、受講生から、これはKYですねと言われた。もちろんその意味は、「空気が読める、読めない」の意である。しかしながら、私が企業に入社した時には、「KY」は、この意味で使われることはなく、「K:(きけん)危険・Y(よち)予知」*の活動としての記憶が深い。職場における危険性の情報を共有することで、予測できる災害の発生を未然に防止させるための活動でもある。朝会などの場や安全衛生の為の職場内パトロール活動を通じて、職場の安全性を高めるための活動である。先週の週報で取り上げた「5S3定(ごえすさんてい)」の活動とも連動する。*KYT:危険予知訓練(Training)とも言う。

KYは安全性確保の為だけではなく、やはりQCDの向上との関連が高い。不安全行動や不安全環境は、仕事の品質向上やコスト削減、作業標準時間低減にもつながる。多くの会社では安全衛生委員会が組織され、安全パトロール隊が編成され定期的に社内巡回し不安全環境や動作を点検する。時には、チェックを受ける側だけではなく、自分自身が安全衛生委員会メンバーになり、安全衛生パトロールの一員として職場内を回り、その価値を自身に刻み込まれることもある。私も同じような経験をしてきた。

職場内の安全では、現状把握を行い不安全個所や動作の抽出をする。なぜ、そのような状況や行為を放置してきたかという要因の分析を丁寧に実施し、QCでいうところの「真因」を探りだす。その上で、対応策を立案・実施するとともに、後戻りしない為の標準化を行う。事故を起こさない為の活動であるが、事故というのは身体に外的な傷を負わせるものだけでなく、仕事上の小さなミスを起こさないことでもある。その意味ではKYは、優れた生産性向上活動でもある。そうした、予兆は働く仲間の表情にも表れ、管理者はその微弱な感情の電波も受診しなくてはならない。 (次週の週報に続く)

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2020年7月17日  竹内上人

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