目白からの便り

計画化された偶発理論

昨夜の松本駅では週末に向けて冬山に入山する重装備の登山者も幾人かいた。今朝の松本は寒気も一層感じられる。おそらく氷点下であろう。

今年も残すところわずかになり、大学の講義も1月末に向けてどのように最終段階に持っていくか思案する日々が続く。秋学期は、特に東北大学、信州大学で進めている日本国内で就職を目指す留学生の為のキャリアデザインに関する講座の内容が充実してきた。新たに取り入れた日本企業における留学生が遭遇する事例・ケースに基づく討議は、日本的な雇用慣行の理解を促す意味ではレクチャー形式と比較して有効だと感じた。
横浜国立大学においても、留学生のキャリアプログラムの内容は積み重ねられ、定期的に首都圏の大学を越えた「留学生キャリアカフェ」にその留学生の力を借りながら開催できる段階に進んできた。

彼らとの交流はとても興味深く、少子高齢化が加速度を増す日本の雇用環境の中での輝く原石を産み出す可能性の源泉であるとも感じている。丁寧に、丁寧にその良質なメカニズムを育て上げていきたい。

今後は、留学生の良質な就業体験の機会を提供できるように企業人事の方とその実現の可能性について駒を進めていきたい。できるだけ、体裁だけ整えたインターンシッププログラムではなく、留学生にとっても、企業にとっても価値ある機会にしたいと考えている。

大企業だけでなく、地方にありながらグローバルな視点でその活路を見出そうとしている優良な企業に対してもその可能性を探りたい。きっと留学生にとって経営の根幹を実践体験するよい機会になり、それはまた新たな事業成長の可能性を模索する企業経営者にとっての非日常的な刺激になるはずである。その柔軟な定着化のために、グローバル経験が豊富なシニアの方々の力を遠慮なくお願いしよう。

進む方向が明確であれば、少し面倒でも一歩踏み出すと新しい可能性に遭遇する。意識することで会うべき人と会うことができ、会わなければならない人が自分を発見してくれる。機会はすべての人に均等に付与される。そうした自分自身に起こる化学反応の機会を楽しみたい。
「計画化された偶発理論(Planed Happenstance Theory)」、今年の5月、このキャリア理論において偉大な提唱者をおくった年でもる。彼が残した、可能性を拡張する理論の実践を大切に継続したい。

今日一日が良い一日となりますように、深い悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

松本の自宅にて 竹内上人

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