目白からの便り

新聞の切り抜き

返しきれないメールに追われ、朝に近い時間になってしまった。今日は企業研修の講師をしなくてはならず、少しでも眠ろうと思う。まだ陽が昇らないので、外の天気の様子は皆目わからない。

連用日記の最初のページにいくつかの切り抜きが挟み込まれている。今週のはじめ、その一枚が、何かの拍子で日記から抜け落ち目に留まる。
その切り抜きは、5年前に事業を始めた時に掲載された地方新聞の一面の最下部にある「斜面」という表題で日々掲載されるエッセイである。

「天声人語」であれ、日経新聞の「春秋」であれ、時々、気になるエッセイは、私の日記に挟まれる。そしていつしか、自分の中で整理され外されていく。
だが、なぜかこの切り抜きだけ、役割を終えずそのまま残っている。

『31歳の女性は夫の暴力を受け離婚した。事務仕事などで9歳の長女を養うが、手取りは10万円。娘の夢をかなえてやりたいが、この生活から抜け出せる方法がない。「私の元に生まれたせいだ。申し訳ない」子供を見つめては涙ぐみ、心の中で謝る。』

少し前の調査だが、厚労省の平成27年の調査ではひとり親家庭の相対的貧困率は、54.6%に達する。相対的貧困率は、国民生活基礎調査の貧困線では年収122万円(2012年)と定められている。また、この層では約40%が非正規雇用となる。絶対的水準が低いことに加えて、雇用安定性も喪失している。

大学で労使関係を学び、企業で人事畑を歩み、5年前に独立してキャリアの支援を事業として営んでいる。もう何十年も雇用の現場に近いところで仕事をしていることになる。良質な雇用機会の提供をできる仕組みづくりに少しでも関わりたい。それが自分の事業の出発点である。古ぼけた新聞の切り抜きは、色あせても当時の想いを時間を超えて運んでくれ原点に立ち戻らせてくれる。

今日一日が良い一日となりますように、大切な方を失い深い悲しみに向き合っている方に励ましがありますように。また、困難に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

都内にて 竹内上人

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