目白からの便り

インターンシップ

みなさま

今朝の松本は、厚い雲で覆われ、雨が降り続いている。ただ、気温自体は、ひところの冷気を感じさせない質感である。確実に春の気配が近づいている。

私の講座の二人の留学生が、今週月曜日から都内で一週間のインターンシップを行っている。中国から東北大学で学ぶ留学生で、一人は大学院工学研究科(情報工学)の院生、もう一人は心理学科の学部生である。
今日が最終日、一週間のインターンシップの成果を職場で発表する。今回は、インターンシップ先の企業の深い配慮もあり、適切に組み上げられたプログラムに基づき、学生の知識や経験が活かされる内容である。
毎日、その日のインターンシップが終了すると学生から電話が入る。企業の方にあたたかく受け入れられ、課せられたテーマに取り組んでいる様子が臨場感をもって伝わってくる。一日の終わりにその連絡を受けると、安どする。彼らも毎日、慣れない職場で奮闘努力しているのかと励まされる。4月からの新学期では、取り組んだ課題そのものではなく、インターンシップという体験を通じて、日本企業の働く現場の実体験を通じて気づいた働き方、チームワーク、風土について同じ講座の留学生と共有し、日本におけるインターンシップの「場」で何が学べるか、学ぶべきか、また、準備はどうしたらいいかを考える題材としたい。

日本の生産人口が年々減少する中で、多様な価値観を有する留学生の活用は、従来の企業組織に新しい仕事の価値創出やイノベーションを誘発する。また、働き方自体が、画一的だった日本の伝統的な職場秩序にも変化を促すのだとも思う。それも相互の絶え間ない歩み寄りから産み出される。

一人でも多くの留学生に日本の働く現場の姿を丁寧に伝えていきたい。一人でも多くの留学生に日本で働くことの意義や可能性を感じてもらいたい。そして一社でも多く、留学生を活用していこうという企業の輪を広げていきたいと願う。企業訪問をする度に、人事の担当者の方に留学生のインターンシップの可能性について話をするようにしている。私がお会いする多くの人事担当者が前向きに反応してくれていることに勇気づけられる。

先日、外資の人事の方とお話をする機会があった。昨年、横浜国大で私が担当した留学生をインターンシップとして受け入れてくれた方である。職場のモラールの良質化に留学生の存在が大きく寄与したとのこと。仕事に真摯に取り組もうとする留学生がそこで働く人たちに与える人事的な効用について想いが合い嬉しく感じた。

焦らず継続して取り組み続けることが大切かと思う。時間をかけて、継続して築きあげることから得られる果実の風味や熟成度は格別なものになるはずだ。今日の二人の留学生の留学生の発表が、価値ある機会になることを願う。

今日一日が良い一日となりますように、特に悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

松本にて 竹内上人

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