キャリアの作り方

キャリアにおける日の名残り

みなさま

都内も冷気を感じる朝を迎えるようになった。セーターでもそろそろ引っ張り出した方がいいのかと思案する。

10月に入り大学でも新しい学期がスタートした。今週は、東北大学で秋学期の初めての講義を行う。私は留学生を中心とした講義を担当しているので、講座によっては、この10月入学の生徒を受け持つことが多い。日本での初めての授業に向き合う学生たち、異国の地で、文化や慣行も異なる環境に直面して彼らはどのような気持ちでいるのであろうか。

東北大学では、後期課程から3講座に講座数が増えた。ひとつは、3年前から継続しているグルーバルリーダーの為のプログラム。前期が「キャリアデザイン」、後期が「EQ(心の知能指数)」にフォーカスをあて15回の構成で授業を行う。
また、この秋から、日本企業におけるインターンシップを念頭においた講座が新しく2講座増えた。ひとつは「Internship Preparation」という日本企業の雇用慣行、雇用システムの理解と、どのようにそのシステムと自分を調整していくのかというところに焦点をおいた講義である。そしてもうひとつは、「留学生の為のキャリア実践教育」というインターンシップを行う上でのより実践的な指導を行う為のプログラムである。こちらは留学生にとってだけでなく、留学生をインターンシップとして受け入れた企業自身が、彼らを通じて、ダイバシティーマネジメントに覚醒し、グローバルな視点での組織マネジメントを行う上での起点になればと、理想は高い。(※末尾にシラバスの要旨を付記したので、関心のある方はご覧ください)

最初の講義は、彼らの不安そうな顔が痛いほど感じられる。それもそうだろう、1年生は18歳~19歳なのだから、まだ高校を卒業して間がない。自分の娘とたいして変わらない年齢で、彼らにとっての精神的には世界の辺境で、学習をスタートする最初の授業であるのだから。

私は、大学で講座をもつようになって3年になるが、その経験で身に着けたことは、講座の初期の段階は、できるだけアクティビティを伴った内容を中心に授業運営を行っている。履修する学生間での親和性を高める様々な仕掛けを身に着けた。チームビルディングがとてもその後の講座の内容を学習する上で大切であることを私自身が学習した。形式的なレクチャーをしてはいけないのだ。
時々自分は芸人か手品師なのかとも思う時がある。

コミュニケーションが成立するためには、信頼関係の構築が前提になる。いくら良質な情報をもっていても信頼関係が不在であると、コミュニケーションは成立しない。それでは、信頼関係を構築する上での前提はなにかというと、自分自身をできる限り正直に、誠実に相手にさらけ出すことから始まる。人は得体のしれないものには警戒するのが常である。となると、コミュニケ―ションの技術を身に着けるという最初のプログラムは自分は何者かということを自分自身が正しく理解し、それを第三者にどのように伝えるかという手段を学ぶことなのだ。

私自身、残りのキャリアの終盤戦、いうなればキャリアにおける夕暮れ時の最後の淡い日の名残りを感じながら、「自分は何者であるか」ということを自ら振り返り、歩んできた自分自身の道程を味わうことができることはとても豊かな時間である。
不安そうに日本での生活をスタートさせた学生たちにどう笑顔を引き出そうかと、次の授業まで考え続けよう。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

九段にて 竹内上人

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<参考 講座シラバス 要旨>

-Course Objectives- コースの目的
日本で事業展開する企業(日系企業及び外資系企業)においてインターンシップを行う前に実践的な就労準備を行うプログラムになります。
特に東北地方・仙台市内で事業展開する企業の就労環境を事前に調査した上で、企業と学生の双方にとって相乗効果を引き出すための総合的なカリキュラムになります。
実際のインターンシッププログラム(留学生の為のキャリア教育実践講座)と連動させ、学生の実践的な就労スキルの習得だけでなく、企業における雇用体制の課題点の明確化、グローバル化やダイバーシティマネジメントの環境整備に向けた提言やコンサルテーションにつながるように地域企業や行政機関との連携を行いながらプログラムの品質を段階的に向上させていきます。
この活動を通じて、学生の視点で、地域中核企業がグローバル化し事業成長を果たせるように支援いたします。そして、学生の主体的な参画により強固な事業基盤づくりに貢献していきます。

-The goal of program- プログラムの目標
留学生が日本の企業や組織を深く知り、日本におけるキャリアの選択を促す契機となるだけでなく、日本企業で就労することを通じて、特に地域経済の活性化とグローバル化を飛躍的に向上させるための東北地域における推進エンジンになることを目指します。
このプログラムを通じて、留学生の日本での就労率の向上と地域企業の活性化・グローバル化を目標とします。
最終的には地域におけるグローバル人材の主要機能としてのひとつの役割を担うことを目指します。

Goal of Study - 講義の到達点 –
– Learning through program – プログラムで習得できること

1.日本企業や組織における組織マネジメントや意思決定の全体像と対応力を習得できます
2.長期的な視点でのキャリア設計を描きあげることができます
3.様々な局面に適切に対応できるリーダーシップ力を身に着けることができます
4.より良い人間関係を構築する能力を身に着けることができます
5.ビジネスにおける問題解決の基本的な手法を身に着けることができます

Content and Course Schedule – 主要な内容とスケジュール –
講座内容とスケジュール
Schedule of the Class
授業回数:15講座

プログラム1:(講座:1-3)
「日本企業の人事・組織風土の理解」
・日本的な雇用慣行の理解

プログラム2:(講座:4-6)
「日本企業の評価の仕組みの理解」
・採用・昇進昇格・組織管理の仕組み

プログラム3:(講座:7-12)
「自己のキャリアデザインの策定と面接・就労スキル」
・日本の標準的な選考面接の模擬訓練

プログラム4:(講座:13-15)
「どのように組織に自分を売り込むか」
・信頼され、期待される人材になるために必要条件の理解と習得

竹内上人

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