10月の初旬、神宮外苑を散歩していると、大きな歓声が聞こえた。その歓声は神宮球場より、秋の風に運ばれて届けられた。プロ野球の試合でもしているかと歓声に引き寄せられるように、神宮球場の方へ足が向かった。試合は、プロ野球ではなく六大学野球であった。今まで私は神宮球場に足を踏みいれることもなく、六大学野球も観戦する機会もなった。その若々しい歓声に吸い込まれるように神宮球場のスタジアムの中に入っていった。ちょうど、東京大学と、法政大学の試合が、終盤戦を迎えていた。試合は接戦で白熱している。一塁側も、三塁側の内野スタンドもそれぞれの大学の応援団で埋め尽くされ、精一杯の応援が繰り広げられていた。試合は最終回、9回の裏東京大学がサヨナラ勝ちで決着がついた。大きな感性と深のどよめきが神宮球場のグランドに流れ込む。
熱狂とどよめきがおさまり、双方の選手がそれぞれ礼儀正しく相手に挨拶をし、応援スタンドに激励の感謝を行いベンチの中に消えていた。
グランドには第二試合に臨む明治大学と立教大学の選手がウオーミングアップを始めている。そうした中で一塁側と三塁側のスタンドでは、東京大学と法政大学の応援団がそのまま残り、相手応援団へのエールの交換をしている。試合がまだ終わっていなかったのだ。誠心誠意、最終回の勝負が決着するまで力の限り、応援をし合い、お互いの応援への敬意を払い、礼儀正しく試合を閉じようとしているその姿に野球の試合以上に価値のある何かを感じた。
エールを送り合うそれぞれの応援団の心の中は、様々な気持ちや感情が交差するのであろう。そうした感情を身体に封じ込め、試合の幕締めを優れた立ち振る舞いで演じ上げる姿に気持ちを動かされる。
10月のまだ強い日差しが残る秋空の中、自然と一体化した神宮球場は彼らの生涯の原風景として精神に包み込まれるのであろう。彼ら大学生には神宮球場があり、高校生には甲子園球場がある。どちらも空に突き抜けた開放感溢れたグランドとスタジアムが残っている。
キャリアもその限界となる天井等ないはずだ。どのような年代になっても、自分の理想する白球を求めるようなプレイを生涯思う存分できればいい。ヒットもするし、エラーもする。試合に勝っても、負けても最後まで相手に対して、そして自分自身に対して敬意と礼節をとる。野球もキャリアもそのようにしてそれぞれの試合を全うして終わりたいものである。
今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。
2024年10月25日 竹内上人
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