目白からの便り

脳に汗をかくほど考える

今朝の表参道周辺は、少し小雨の降るどんよりとした空気に包まれている。ただ、少し前の肌にまとわりつくようなじっとりとした湿度からは解放されている、確実に秋の気配が近づいている。午後から松本に戻る予定だが、その温度感、湿度感はより一層感じるのであろう。
夏の暑い時期は、早く涼しくならないのかと感じるが、いざ秋の気配を感じると寂しさを覚えるのは私だけであろうか。

前職のキャリアの後半は、人事を離れて、経営管理や事業戦略に関わるの仕事をしていた。この時期は、10月から始まる下期方針大会の場に向けて、戦略の進捗と新たに直面している事業課題について、体系的に整理する時期でもあった。かなり集中した時間を長くとり、基本的な事業の構想設計や詳細設計を関係する方たちと、論理の筋道が正しいかを何度も何度も繰り返してて、全体に伝える為の物語を練り上げた。驚く方も多いかもしれが、一日中、深夜まで、特別に確保された集中検討の為の会議室に閉じこもっていた。その時に時間を共有した方たちのことを思い出す。ほぼ1カ月、この方針大会の為だけの時間と向き合う。

日常の業務の中の一つ一つの業務を、効率よく回転させていくことはとても重要である。その一方で、集中して考えることはロジックの整理に加えて、新しい発想の扉を開く行脚でもある。

新たな気づきは、突然ひらめくものではなく、経験上、深く、継続的な思考の連続の中にあるような気がする。
ある経営学の教授の研究室の壁に貼ってあった、言葉が印象に残っている。「脳に汗をかくほど考えろ」。
中途半端な思考が脆弱で、芯のない計画や施策を生み出す。

結論の品質を厳しく自分自身に問いただすことが、時には必要である。品質管理の基本動作の中に、「なぜなぜを3回繰り返せ」という格言がある。思考を止めず、奥深くまで掘り下げていくと真理に近づく。

自らのキャリア設計も経営戦略と似ている。自分自身のキャリアドメイン(領域)を設定し、自身が積み上げたコアコンピタンス(強み)とキャリアコンペティター(キャリア上の競争相手)との対比分析を重ね、目標を定め、達成シナリオを描く。できれば定量的に分析するといい。膨大な時間がかかるし、とても面倒な作業であるが価値がるのだ。

大学の講座のキャリアデザインのプログラムは、自ら体験した事業戦略策定プロセスを重ね合わせた内容である。良質で時には反吐を吐く苦しみの中から、自ら取り組むべき目標が見えてくる。

今日一日が良い一日となりますように、特に悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

(お知らせ)
9月より都内のオフィスを九段から表参道(〒150-0002東京都渋谷区渋谷1-1-7 セントラル渋谷246 9階)に移転しました。青山学院大学の向かい側、青山通り沿いになります。

都内にて 竹内上人

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