目白からの便り

映像による学習の効果

今朝の都内は青い澄み渡った空気に包まれている。今日も初夏の気候を感じる一日となりそうでる。

昨日から、ある方の勧めで「人事屋からみたキャリアデザイン(設計)のプロセス」を、e-learning(Webを通じた学習方法)の教材にしてみたらという提案に興味をもち撮影に取り組んでいる。
今まで、人事の実務経験や大学での講義、実践的に転職希望者への支援をしていく中で積み重ねられた気づきを教材化しようと試みる。個人がリアルな現場の中で伝えていくことの価値は大切であると確信しているが、物理的、時間的な制約条件に悩む。しかしながら、こうしたITの技術をベースにした学習方法は、その伝達範囲を凌駕する。

ちょうど大学の講座でも映像を活用した講義がいくつか試みているので、学生に指示するだけでなく、自らも体験する機会は貴重だと感じた。

大学では、「EQ (Emotional Intelligence Quotient心の知能指数)」の講座を横浜国立大学と東北大学で、主として海外からの留学生を対象にした講座中に組み込み担当している。4月から進めてきているので、クラス学生間の交流もだいぶ馴染んできている。留学生が中心だが、日本人の学生も少人数交じっていて、異文化、言葉の壁を乗り越えて積極的にグループワークなどに取り組んでいる姿が頼もしい。

3年前より、春季課程でのEQ講座は、秋季課程で行ったEQ基礎講座のアドバンスコースとしての位置づけとして、映像を使用したグループ活動をプログラムに組み込んで展開している。EQの概念の理解を深めるために、半期で3本の短編のビデオ映像を制作する。

それぞれのクラスでは、処女作となる第一作目の映写会(発表会:プレゼンテーション)を行った。①上映前の監督・主演俳優・女優の挨拶、②上映、③上映後の映像解説とプレゼンテーションは続く。毎年どのような内容になるのか期待が半分、不安が半分であるが、結果は予想をいつも私の想像を上回る。学生たちの力量の高さに驚愕を覚える。

今回のテーマは、感情を正しく理解する能力と、習慣的な(癖となってしまう)感情反応のパターンをマネジメントする能力の2つのEQ Competency(感情能力)を取り上げ、5分間の映像化を試みた。一つのグループ(講座では映画製作会社)は、概ね5名から6名の学生で構成され、監督、助監督、俳優などのキャスティングを予め設定して制作する。私からは、脚本シナリオの展開のフレームワークだけ提示する。

講義でそれぞれのEQの概念を座学で学ぶことも大切だが、基本概念を理解した学生たちが、その内容を自らのアイデアで映像という作品に仲間と相談しながら創り上げていく効用も理解を促す。実際の理解浸透に関する評価は7月の最終プレゼンに委ねられるが、 学生の意気揚々として取り組んでいる顔をみると、期待も膨らむ。楽しさを通じて実効的に理解が深まる為の仕掛けを講座に中にどのように織り込むべきかという責任も感じる。

30年以上前、学生時代、映像ではないが演劇を通じて、専攻で学んだことを舞台化した経験がある。「能力主義人事制度導入」に対する労使交渉をテーマにした。労使のそれぞれの視点で理解が深まったし、芝居を創り上げる過程で人間的な関係ができた。私は脚本担当だった。労働組合の委員長役は、上場大手企業の人事部長、青年部長役兼舞台監督は、朝ドラや大河ドラマにも頻繁に出演する俳優になった。

映像加工に多彩なアイデアを織り込み、編集ソフトを駆使する学生の卓越した力量が企業組織で活かせる経験として学生一人一人が内在化できるように自分自身もその体験と経験を通じて苦労したい。

今日一日が良い一日となりますように、困難に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

都内にて 竹内上人

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