目白からの便り

雇用の多様化に対する3種の神器

今朝の都内はどんよりとした雲に覆われているが雨は降っていないがしっとりした湿度に包まれている。

雇用形態の多様化にどう向き合うかは、企業経営にとって重要な取り組み領域になってきている。
その主たる処方箋として、外国籍労働力の確保が避けられなく、また日本で学ぶ留学生の就労確保に向けた努力が求められる。

背景にはかねてより懸念されている2つの深刻な懸念事項による。ひとつは抑止力が効かない日本の人口減少であり、もう一つは65歳以上の比率の高まりにともなう年齢構成の高齢化である。

絶対的労働生産人口が減少するという事態と逆らうことができない肉体的な劣化と将来の余白が少なくなることによる無限大の可能性の希求を導く気力の減少は、一般的な感情を持つ生物としての自然の摂理でもある。

この2つの難題に対して、日本の経営者はどのように労働生産性を維持しつつ働き手の量と質を確保できるか苦心する。労働集約型の雇用構造を持たざる得ない業界や、雇用獲得競争力の劣勢を余儀なくされている中小の企業規模の会社にとって事態は深刻度を増している。
単純化された定年延長施策にその解を求め過ぎるのは危険なことだと思う

先日、長野県にある信州大学で半日の時間を費やして、留学生雇用促進に関する講義とワークショップセミナーを行った。出席者の多くは企業の人事担当者である。前述した労働環境の確実な変化に直面し最前線でどのような施策が今取れるのかという事について最も危機感持っている人たちである。
私自身その熱意にとても親近感を持つ機会でもあった。

講義の中で発する自分自身の言葉とワークショップを通じて人事部門の参加者との会話の流れの中で、まだ企業の生産性が確保できている今現在に取り組むことができる施策について精一杯その必要性を経営の重要な責任を持つ人たちに訴求する役割の重要性を感じた。

外国籍の働き手を企業組織の中に有効に取り組む施策として、人事の実務家として、3つの切り口があるのだと考えを深め、今はかなり確信を持ってもいる。

それは、表題の「新たな雇用課題解決の三種の神器」とも言えるものである。「日本語の簡易化」、「職能給から職務給への段階的な移行」、「海外経験豊富なシニアエグゼクティブの活用」であり、ここ10年ほどの時間軸でとることができる現実的な取り組み施策である。

これらの施策課題は実務ベースで実現する為にそれほど多くの時間的な猶予を与えられていない。

「働き方改革」の提示される重要な課題は長時間労働の是正であるが、その真逆に位置付けられる「雇用形態の多様化」にどのように組織を柔軟な構造に変容させるのかという課題もより深刻である。

こうした変化に私たち一人ひとりの働き手がどのように肯定的に捉え、柔軟に、積極的に自分自身の自己変革を図る気持ちに変えることができるかが大切である。そして人事担当者はその親身な支援者になるべきである。

今日一日が良い一日となりますように、特に深い悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

都内にて 竹内上人

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