私の長い人事のキャリア上、自分の中で人事マンとして開眼したという出来事がいくつかある。その中で最右翼の経験が企業内障害者雇用推進者としての経験であろう。言葉の定義として「企業内」という冠をあえてつけたのは、一般的な障害者雇用推進という枠組みではなく組織における職務としての障害者雇用推進者としての役割や立ち居振る舞い方は、一般的に広く社会における障害者の支援に尽力されている方々とは異なる動き方や考え方が必要なのだと感じたからでもある。
組織は多様化を受け入れることによって、そこで働くすべての人々の将来、自分自身の健康状態も含めて、起こり得る様々な可能性をの環境変化に対して、帰属する組織の受容度と誠実度がどの程度あるのかということは、働く人たちの組織信頼性を高め、組織エンゲージメントを強固なものし、貢献意欲を換気させ、結果的に自律的キャリア意識を高め、組織の成長に寄与につながるというロジックを私は支持する。
その意味で障害者雇用のみならず多様性を受容していく人事的な施策というものは、働き手の帰属意識を高め、組織の成長と収益性に対する貢献意識を誘引するのだと思う。特に将来の幹部候補となるべき優れた人格的素養を持った人にとってはそう言った組織文化や風土、それに基づく組織システムが良質かどうかということが、組織に対する貢献意欲に大きく影響を与える。組織はそういった将来の人物をがっかりさせてはいけないのである。
私はキャリアの中で企業内において障害者雇用を行うことの価値を社会的な責務を果たすということだけではなく、社会が企業を評価することを通じて、組織に属する人が企業を信頼し、その企業のために働くことが社会的価値を果たしているという意識に変換させるとともに、自分自身がより成長しなければいけないという向上心を誘発するのだと考え、人事担当者はそのメカニズムの中で障害者の雇用施策を設計するべきだと考えている。障害者雇用率を公的に求められる水準に維持するということはもちろんなのであるが、それは与えられた役割の半分程度なのかもしれない。
現在民間企業の障害者の法定雇用率は、2.5%。令和8年7月より2.7%に引き上げられる。企業が果たすべき役割のハードルは時間とともに引き上げられる。こうした社会的要請に対してコンプライアンス的な遵守をするという範囲にとどまらず、そのイベントを有効に活用し、組織で働く人々のモチベーションや労働価値を高めていくかということに連動させていくかを苦心して考え続けることは人事マンにとってとても大切な姿勢である。こうしたことを、現在、またこれから企業の中で障害者雇用を担当する人たちがいればぜひ一緒に考えていきたい。
今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。
おしらせ 【企業内障害者雇用担当者としての思い出】
最近、企業内での障害者雇用推進における取り組みについて、とても積極的に活動している方からのインタビューを受けた記事がサイトにアップされた。もしご関心がある方は下記のURLをご覧いただければ幸いである。
https://company.fvp.co.jp/tokurei/detail_2066.html
2025年2月7日
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