目白からの便り

仕事道具

先週まで、新しい職場365日の過ごし方について、人事の実務家の経験から整理をした。仕事をしていく中で、上司や同僚との関係を大切にしていくことは言うまでもないが、自分自身の仕事を支えてくれる道具に対しても、少しの気配りをした方がいいとも思う。少し落ち込んだ時、モチベーションが高まらない時に、ある意味戦友として使い込んできた自分自身の仕事道具は、自分の順境の時も逆境の時も、何事も要求せず、一緒に伴走してきてくれた。私自身にももう取り替えた方がいいのではないかと思うほどくたびれたシャープペンシルがある。

道具が自分のキャリアを刺激し励ますこともあるのだと思う。すべての働く人にはそれぞれ使い込んだ道具を持っている。道具にこだわりをもち、丁寧に扱い、磨き上げることは、仕事に対する礼儀でもある。そうした磨かれた道具をみて、人物は評価される。この方は信頼できる方なのか、きちんと仕事をしてくれるのか。

筆記用具からパソコン、専門的に仕事で使う検査測定機器、医療機器、工具類、社用車、サーフボードなど、道具を使って日々の仕事を行っている。多少傷ついていても、修理し補修して丁寧に扱うとそれが重厚な年輪となり、味わいとなる。

私が入社して間もなく時計工場の紹介ビデオの撮影に工場を案内した時、カメラマンの方が、この工場は美しいリズムが流れていますねと話された言葉を今でも覚えている。

日本の精密工場の職場は、すこぶる整理整頓(3S・5S)が進んでいる。作業員の工具も丁寧に保守され、定位置に折り目正しく置かれている。だから高品質な製品を生み出し続けるであろう。私は結果ではなく、そのプロセスの良質性で、仕事の品質を管理することの大切さを学んだ。

この週末、自分の使っている道具や身の回りを整理して、敬意と感謝を込めて、手入れしてみようと思う。きっと仕事に向き合うモチベーションが高まるはずである。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2021年12月10日  竹内上人

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