目白からの便り

できない中で、できることを探す

4月に入って自分自身が学ぶ機会が多くなり、気づいたことがある。何か新しいことを知る事は、より多くのわからないことを知ることにもつながる。こんなに何も知らなかったのかと愕然とする。経験に基づく論理や持論も大切だが、自己の価値基準を過信せず新たな知に素直に向き合う時間は、身の回りに起こる変化を許容し、受け入れ、滋養とする上で必要なことでもある。

大切な事はわからないということを悲観しないことである。「わからない」と言うことに謙虚に向き合って地道にわかろうとする努力を続けることが明日につながる。その境界線を越えることができるかどうか.それこそ分からないのであるが、超えようとして、頑張ることが大事なのだ。「できない中で、できることを探す」。その繰り返しの中で突破口を開くことができると思う。聞きなれすぎてはいるが、継続は力なりという言葉は身に染みる。そういえば、私の講義を受講していたアジアからの女子留学生で、腕に「継続は力なり」と刺青(tattoo)を入れていた生徒がいたのを思い出す。

仕事柄、キャリアの選択に迷う方や就活に本格的に突入した大学3年生と面接する機会が多い。キャリアの選択で迷う時、できないことで戸惑うことではなく、できること、できてきたことに焦点を当てて今後の自分のキャリアの基本的な設計をしてはどうだろうかと助言する。できてきた事は多くの時間をかけてきたことである。多くの時間をかけられるという事は自分の潜在意識の中にも興味関心があったということの表れでもある。キャリアもスポーツ競技に似ている面が多くある。資質や素養も否定できないが、練習量の過多が結果につながる。一つひとつは、平凡なことかもしれないが、続けることによって非凡な存在となる。

どのような年代の方も、この週末は、自分自身のできること、できてきたことに注目してみてはいかがであろうか。こんなにできてきたこともあるかと励まされるであろう。マネジメントや経営に携わる方は、日々部下のモチベーションに気を配りながら、彼ら、彼女らのやる気をどのように引き出そうかと苦心しているかもしれない。時には承認欲求を自分だけの為に活用して、前に進む活力にしてみたい。

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

2021年5月28日  竹内上人

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