目白からの便り

人口急減に向き合う 留学生の雇用環境づくりの処方箋

今週のはじめ、信州大学で留学生雇用の現状と今後の雇用施策に関して長野県内の人事の方にお話しする機会を得た。同じ場には長野県内の企業に就職した留学生の卒業生の方や内定を決めた留学生の方からの「日本の就活」についても併せて紹介された。彼らの慣れない日本の就活での奮闘努力ぶりに励まされる。

大政奉還をした年は、1867年である。2019年の現在から約150年前の出来事である。幾多の困難に直面しながらも、資本主義と民主主義を希求してきた時間でもある。豊かな環境を社会構造的に得てきた半面、この期間に徐々に高まってきた労働コストと年金・医療・地域行政維持のための社会保障費の拡大スピードに、企業や社会の付加価値の増殖の速度が追いつかなくなってきたことも、現在、雇用現場に厳しい現実が問われている経過でもある。
また、生活環境の向上に加えて、殖産興業・富国強兵といった全体主義的な社会政策にも後押しされ、日本の人口もこの間 約3、000万人から約1億2,000万に驚異的に膨張し、経済基盤を支えてきた。しかしながら、現在は、その揺り戻しとしての人口急減にも直面している。

社会インフラのコストを抑制することは、家計のやりくりと同様なかなか難しい、低コストで維持できる循環型社会を意識しながらも、積極的に付加価値を増やすことを考え続けなければならない。そのための労働資源の将来成長に向けた機動的な最適配置の環境整備は急務でもあり、労働人口の絶対量が今後急激に低下する対策として、海外から日本に就労の機会を求める人材の力を得ることは不可避だと感じる。

その一方で、多国籍の良質な労働力の受け入れ態勢が遅々と進まない企業内部環境調整の堅牢な壁と格闘している人事の方々に同じ人事屋として深い同情心と仲間意識を抱く。企業の外から手助けできればと願う。

個別企業の要員構造分析をすると、企業自体が「限界集落」のような「限界企業」に陥る危機にそう遠くない将来直面することが明らかである。比較的、企業規模が大きな企業の方が問題は深刻なのかもしれない。私が知る限り、機転の鋭い創業経営者の企業の方が、その危機対処に敏感である。

人事的な処方箋について、ここ数年いくつものアイデアを考えてきた。その実践を今後、人事屋として総括的に試みていきたいと期待が膨らむ。

信州大学での講演会の会場で、身に着けていたロータリークラブのバッチに気づき、参加していた3名の留学生が私のところに来て、ロータリークラブが提供するロータリー米山奨学会の奨学金を受けて日本で勉強したのだと嬉しそうに話してくれた。3名とも日本での就職を予定している留学生であった。奨学会への寄付が、身近に感じられた瞬間でもあった。

今日一日が良い一日となりますように、困難に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

都内にて 竹内上人

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