目白からの便り

4つのリーダーシップ像

明日の早朝に出立しなければならない予定があり、今週は一日早くこの週報と向き合っている。天候が崩れ、松本市内は激しい雨に打たれたり、少し小降りになったりと繰り返している。

大学の講義で、グループワークをすることが多いのだが、その後に必ずリーダーシップのタイプをレビューするように加えている。WEBをベースにした講義になっても、会議システムのグループ分けの機能を使い、少人数でのグループ討議と全体会議を組み合わせながら、できるだけ学生が能動的に講義に関わることができるようにと工夫を試みる。

講義後半の時間を少し使い、当日のグループワークに学生一人一人がどのように向き合ったのかを振り返るようにしている。主体的に取り組んだのか、受動的だったのか。議論では牽引したのか、調整役の立場だったのか。また別の視点で、各々の判断にあたって、柔軟的に対処したのか、自説に固執したのか、論理的な筋道を大切にしたのか、メンバーの感情を汲み取って判断したのか。これらの観点でリーダーシップの区分を16分割し、4つのリーダーシップ像に分離し、自己理解を促す。

4つの類型とは、司令官型リーダータイプ(Commander Leadership)、親方型リーダータイプ(Master Leadership)の、参謀型リーダータイプ(Bureaucratic Leadership)、そして支援型リーダータイプ(Servant Leadership )に区分し、それぞれのグループ活動の自分の他者への関わり合い方や、そこでの意思決定のスタイルを振り返るようにしている。どのタイプのリーダーシップが正解と言うわけではなく、学生一人一人のリーダーシップの本籍を理解し、将来に向けて、局面局面で適した行動や立ち居振る舞いができる気づきになればと願う。

新しい時代に直面しているのでは、と多くの人が感じているのであろう。特に新型コロナウィルスによって人々が物理的に離れたところで共通の目的に向かって仕事をしていく環境では相互の信頼関係が欠かせない。その時に必要な事は「共感資本」というべきお互いの信頼関係に基づく相互補完的な関係がより強く求められる。確かな答えがない世界の中で、人々の英知を集め、一定の方向に向かうのはデジタル的に算出された答えではなく、合理性の限界を超えてもその方向に向かっていこうとする共感力に依存する。誰かの為に自分は何ができるのだろうと思い続けることが、人間集団の中で相互の信頼関係の土壌作りの原点になる。「私がこうしたいという世界から、あなたの為に何ができるのか」と考える時間的な余白を一日の中で少しだけでも持つことによって調和が取れたチームができるのだと思う。

今日一日が良い一日となりますように、深い悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が豊かな一週間でありますように。

2020年6月12日  竹内上人

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