目白からの便り

働き方を問われて・・

今朝の松本は、寒気に包まれ、遠くに美ケ原の山頂あたりから流れてきた雪のかけらが市内にも漂い、小さく陽の光に反射している。

松本市内の桜前線は、今は、松本城周辺が最も見ごろになっている。例年は国内外から多くの観光客が訪れ賑やかなのであるが、今年はひっそりした静寂に包まれている。松本市内の桜前線は、この後しばらくすると、少し高台の城山公園に移る。さらに1週間後はもう少し標高が高いアルプス公園に伝わり、4月末には、美ケ原高原への登山口である三城牧場から少し上った広小場にある二本の桜の木にたどり着く。毎年、五月連休の時期に登山シーズン前の準備運動を兼ねて確認する場所でもある。

自然がもたらす風景は、昨年と全く変わらないのだが、人がかかわる情景は大きく様変わりしている。豊満に膨らんだ桜の一つ一つの花を凝視してその思いは一層深まる。

環境が許される働き手にとっては、自宅での仕事の比率が高くなっているのであろう。私自身の仕事の比率も対面での仕事量が大幅に減少し、WEB会議システムを活用した機会が増えている。対面を通じてのコミュニケーションの価値と同様に、各々離れた場所で同じPCのスクリーン上に映し出される出席者の資料を眺めながら、画面を通じて会話をする。チャット機能を使ってメモをとる。メモ自体が、そのまま出席者と瞬時に共有される戸惑いや文言解釈の誤解の不安も感じながら。4月から開講する予定だった春季課程の大学での講義も教務課の方から、5月からWEBを使った授業配信の準備をしていると日々その進捗の案内が届く。

日本の賃金体系の主流である職能給は、主として「人」に対しての価値を評価して処遇がなされてきた。こうして多くの職場で、物理的に離れた場所で組織にとって大切な価値を協業的に創造する活動は、今まで以上に出来栄えやアウトプットの品質結果が問われることになる。また、そこに至る合理的で共感的なプロセスの系譜を問われる。管理職に課せられたマネジメント能力も部下や関係者の感情の内面を離れた場所からどれだけ同じ視点で想像できるかが問われる。

厳しい環境を、新しい創造的な価値創出プロセスの探求の機会としてとらえ、固定化された制約条件に縛られず、あらゆる職種に労使で、従来と異なる概念や仕組みで、如何に同じ機能や成果を演出できるかを積極的に考える機会になればと思う。
働き方改革の本質的な答えの糸口が、今まで経験したことのない環境から課せられた問いかけのひとつかもしれない。

今日一日が良い一日となりますように、今まで経験をしたことがない困難に向き合っている方、深い悲しみ向き合う方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

松本にて 竹内上人

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