目白からの便り

失敗から得られるもの

寒い日が続いている。週末は天気が崩れるという。受験生が向き合う環境が滞りなく迎えることができればと願う。
今週の初めの成人の日、私はこの日に掲載される伊集院静さんが執筆している飲料会社の企業広告を毎年楽しみにしている。かつては山口瞳さんであった。この企業広告の存在は、私が社会人として初めて企業に勤めるようになった時の社員寮の同期が教えてくれた。それ以降、この時期に伝えられる文章を真っ先に探して確かめる。あれから35年近くが過ぎる。

今年のメッセージは、「君の個性に乾杯」と記されていた。
私が特に心を奪われたの箇所は、『…まず古い考えを取り払え、あるように見える“ワクからはみだせ”、それが二十歳の可能性だ。…但し、品性を忘れるな。自分の為だけに生きるんじゃない。…そして元気に歩くんだ…』

この二十歳の方に対するメッセージは、毎年のことながら自分自身に対して問いかける。新しいことに挑戦すると、必ずしもうまくいかないことに直面する。その恐怖から自分自身のチャレンジを思いとどまってしまうこともある。

所属するロータリークラブの諸先輩方から学ぶことは多い。経営の先達の方と話すと、仕事は失敗の連続だと感慨深げに話される。それぞれの分野で継続して事業を担われているのだから成功の体験の方が相対的には多いはずである。ただ、うまくことが運ばない出来事は、ご本人たちにとって記憶を超えて心に刻まれ、深く内省するからその印象が強く残り続けるのであろう。誰にも責任を転嫁できない立場と葛藤を垣間見る。

仕事においてうまくいかない時に、誰かが支えてくれ、支援を得たりすることがある。当初の目論見から乖離して、絶望的になった時、新しく強い絆を生み出すこともある。そうなる場合とそうならない場合の違いは何なのか。

その時に、品性を忘れず、仕事は自分の為だけにするものではないという言葉が深くしみ込んでくる。失敗ということは実は、存在しないのではないかと思う。受け止め方であり、そこに至る人と人との関係性の中での産物であるように思う。うまくいかない出来事から次への足場ができることもあるのだ。

心から、どんな時でも、元気よく歩いていきたいと願う。

今日一日が良い一日となりますように、過去の避けられない災害から、深い悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

伊勢に向かう車中にて 竹内上人

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