目白からの便り

縄文人の魅力と柔軟性のあるキャリア

今朝の都内は、日中の熱気がまだまだ健在で、湿度の高い空気に包まれる。都内と松本を行き来していると朝夕の温度がかなり違うことに驚く。松本も日中は暑いのだが、朝夕は過ごしやすくなってきた。

八ヶ岳への登山口である美濃戸口から,茅野市街に続く街道沿い、標高が1000mほどに、尖石(とがりいし)遺跡という縄文時代の遺跡があり、そこに茅野市尖石縄文考古博物館がある。先日、機会があり訪問した。
ここには、「縄文のビーナス」という国宝指定された土偶と、同じく平成26年に国宝指定された「仮面の女神」という土偶が陳列されている。考古学にロマンを感じる方には魅力的な聖地である。

縄文時代は、その後の農耕文化が栄える弥生時代と比べて、狩猟が中心で定住せず、自由に居住地を移っていた。自然と共生している感覚が強い。

縄文的な生き方ができればと時々感じる。ニュースで心を痛める事件を知るたびに憂鬱になるが、そうした事件が、縄文時代は少なかったそうである。農耕文化が始まり、田畑の所有権が定まった弥生時代から、利権を巡っての事件が発生する。

日本の産業構造が大きく変わり、価値を生み出す産業軸が多様に変化し始めている。働き手もどこで、自らの力を発揮するのが最適なのかと考える時代でもある。弥生時代のように、その地にとどまり、積み上げていくことも大切な価値であるが、恵みの可能性が多そうな機会にむけて積極的に移動していくことの価値も高まる。

労働を考える時に、従来のしがらみに縛られ過ぎずに、柔軟に活躍の場を選択する機会が多かった縄文的な働き方は、キャリアを設計する上で大切な価値観だと、はるか遠い長い年月を経てきた「縄文のビーナス」と対面しながら考える。

熱心に土偶をみていると、博物館の案内の方が説明をしてくれる。「縄文のビーナス」と「仮面の女神」は頻繁に出張があるとのこと。全国の企画展示の場に招かれ忙しい。

出張中は、レプリカがその役割を担う。土偶のみなさんも、この平成の世になっても定住せず、全国を飛び回って働いる。
時には経験を活かしながらも、住み慣れた土地を離れ、新しい可能性に挑戦するのも刺激的である。

今日一日が良い一日となりますように、特に悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

都内にて 竹内上人

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