目白からの便り

レコードに気づかされるキャリア設計の構造

みなさま

今朝の松本は早朝に少し雨が降り肌寒い。美ヶ原高原の先端にある王ケ頭にも雲が迫っている。
毎年この時期、登山の体慣らしのために三城牧場から茶臼山経由で美ヶ原を歩き王ケ鼻まで登る行程を何度かするのだが今年は天候が悪く控えている。今年もその行程途中の「広小場」にある桜は満開なはずだ。

妻の実家にある古いレコードを聞く。レコードのジャケットには「MISSLIM /YUMI ARAI 」と記されている。
1974年、今から44年前のレコードである。久しぶりにアナログの音感を感じる。その歌詞の新鮮さに驚く。
さらに驚嘆したのは、44年前に作詞をした本人の年齢が18歳であるということだ。時代の変化を越えて、彼女の持つ本質的なメッセージは私の弛緩しきってしまった感情に強烈に突き刺さる。

キャリアもその核となるところは半世紀前の時代でも今でも大きく変わることがないのであろう。働き方のバリエーションは確かに変化をしているが仕事に対して人が持つ感情は今も昔も変わらない。同様に人事制度改革に関わるファッショナブル(流行的)な言葉や改革論議が飛び交っても、人事労務管理の本質は変わらない。

それは、働く人たちが所属する組織の指揮官や同僚との信頼関係、自らの職務に精勤努力することを自分の成長として前向き感じ取れる感覚を肯定する就労環境であり就労ルールの良質性に起因する。流行する言葉の裏側にある背景を冷静に読解する力が私たちに求められる。

慌てて表面的な対応をしないことが肝要だ。制度やルールを変えなくても現在の制度やルールの価値をもう一度紐解き丁寧に読解し、運用の可能性を探りきることによって突破口が開けることが多い。

レコードを聴いていてもう一つ感じた事がある。曲を気ままに飛ばして聞いたりすることができないことだ。レコード自体の曲の組み立てに物語がある。この組み立てにより作者のメッセージをより端的に聴き手に伝える。
このことは一人ひとりのキャリアの履歴にも同じことがいえる。自分自身のたどってきた職務上の履歴をもう一度振り返ってみると、これから取り組むべき到着点を読み取れる。

学生であっても経験を積んだ働き手であっても同じだ。キャリア設計の基本的な考え方は過去の冷静な歩みの振り返りにあり、そこからその根底に流れている自分自身の本質的なメッセージを読み取り、次に向かっての曲目を決める作業の繰り返しなのだ。

デジタルに麻痺した感性を覚醒するには、時にはアナログに触れることも貴重である。

今日一日が良い一日となりますように、特に悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

松本にて 竹内上人

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