目白からの便り

就活 企業を選ぶ力量

みなさま

今朝の松本は、小雨交じりの空模様である。ただ、肌で感じる気温は暖かく、これから時々寒い日が来るにしても、確実に春は近い。松本城の梅も少しずつだが息吹を感じる季節となっている。これからが楽しみである。ポットに熱燗を忍ばせ、お城の公園のベンチで、春の気配を感じながら悟られずに喉を潤わせたい。

今週は、信州大学の留学生を対象にした春季合宿に参加した。信州大学はご存知の方も多いと思うが、長野県内に学部によって、松本市、長野市、上田市、南箕輪村にキャンパスが分かれている。私にとって、信州大学で講座をもつのは今年からであるが、私自身の居住地が松本にあるので、親しみが深い大学でもあり、機会を与えていただいたことを嬉しく感じている。

多くの留学生が長野県の東御市の研修施設に集合し、宿泊型のキャリア講座を行った。ほとんどが、工学部(長野市)と繊維工学部(上田市)の学生だった。

すべての留学生が日本で働きたいと願っている。その熱意は彼らの若さのエネルギーとともに教える側の私の体に突き刺さる。誠実で前向きな学生ばかりである。
日本の特異な新卒採用スケジュールのリアルな実態と日本でのキャリアをどのように構成、組み立てていけばいいかということ、グループ面接やグループディスカッションといった新卒採用試験の模擬体験など、就職活動で体験するすべてのプロセスを共有する機会でもあった。文化背景が異なる彼らにとって、日本の就活は未知との遭遇である。一泊二泊の集中研修では自分自身の職業観の気づきと、就活の実態を知ることによって明らかになる「本当に日本人学生と混じってやっていけるのだろうか」という戸惑いも感じたであろう。

講座を通じて、私が伝えたかったことは、なぜ日本に留学し、学び、将来その経験を社会や他の人たち、そして母国の為に活かしていくかを体系的に整理し、独自のキャリア観を確立して欲しいということである。自分は何者で、何をしようとしている人間かを知ることが出発点であり、他者との信頼関係を気づく第一歩である。得体のしれない人間に人は心を許さない。そもそも自分自身を知ることなく、他人に理解してもらうことはできない。

大学生だけでなく、定年を目前としてキャリアの選択を余儀なくされる方も同様である。私の本業は経験を積み上げてきた方のキャリアの助言と具体的な働く機会の提供であるが、私より大先輩の方たちにも同じことを話していることに気づく。自分を確立し、外に向かって働きかけることの難しさは永遠に続くことかもしれない。

就職先に自分はどう評価されるか、どのようにしたら選んでもらえるのだろうかと悩む学生の言葉を聞く。やりきれないような本音であろう。
それでも彼らに伝えたい。就活は企業がみなさんを選ぶだけでなく、皆さんが企業を選び抜くことだということを。

今日一日が良い一日となりますように、特に悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

松本にて 竹内上人

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