目白からの便り

キャリアデザイン

みなさま

早朝の松本は涼しい朝を迎えている。昨夜の22時に松本駅に到着する新宿発「特急あずさ」からは、お盆休みを利用して帰省する人に交じって、同じくらいの登山の身支度をした人で溢れかえっていた。これから山登りだという挑戦者としての風貌を携えて、意気揚々と改札を出る。彼らにとって、松本駅の改札は出口ではなく、北アルプスの登山口でもあり、入り口なのだ。上高地から涸沢を経て穂高や槍に登るのか、燕岳から、常念に向け、表銀座を縦走するのか、それぞれ、綿密に立てた登山計画で彼らの表情は期待で溢れている。

講座をもっている大学で、最終発表会があり出席した。留学生が中心のプログラムで春季課程講義で学んだことを振り返りながら発表する。最終学年の学生は、卒業論文の発表の場にもなる。
私は春季講座では、長期的なキャリア設計のクラスとEQ(こころの知能指数)の二つの講座を担当した。
私自身、学生から多くを学んだ4ケ月間でもある。

人事屋として、長く企業人事を経験し、また現在の仕事を通じ、キャリアの節目に直面している方とお会いする度に、キャリアの計画の有無や品質は、「自己の棚卸し」、「リスクや機会の抽出」、「キャリア(職業)計画の立案」、「進捗管理」の繰り返し作業の絶対量の相異によるところが大きいと痛感する。
無意識のうちにこうしたサイクルを習慣化している方は、常に自己の立ち位置と向かうべき方向を持ち合わせている。物事に向き合う姿勢も主体的である。

20歳初めの学生の段階から、自分のこれから進むべきキャリアのシナリオに関して推敲を重ねることによって、それぞれの人生の物語の出来栄えは良質なものに必ず変容する。キャリアは生き方でもあるので、自分との対話も深まる。自分との真摯な対話の総量が多い方は、他人に対しての理解力も優れてくる。

手順を学び、地道にこのサイクルを凡庸に繰り返すことが大切である。どの年代でも遅すぎることはなく、あきらめずに直ぐに着手することが大切なのだ。経験値は必ず身についている。経験値を形式知化することによって、新たな気づきや、夢も浮き出てくる。50歳からでも、還暦まで、喜寿、そして米寿までのキャリアを前向きに考えてみることは素敵な興奮を覚えるはずだ。
願わくは、その年代の方には、自分自身の為だけのキャリアではなく、「他人に分かち合うキャリア」の視点も加えてほしい。きっと前向きな気持ちになる。

今日一日が良い一日となりますように、避けられない悲しみや困難に向き合っている方に励ましがありますように。また、良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

松本にて 竹内上人

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