目白からの便り

リーダーシップの取り方 組織行動の正しい理解 その1

大学院の組織論の講義で、スティーブンP.ロビンスの「組織行動のマネジメント」(ダイヤモンド社)という書籍を輪読している。表紙には『世界一読まれている組織行動学の教科書』と記載されている。私は人事経験が長い分だけ、人々の行動や組織の在り方を、その経験値からくる「直観」で判断してしまう傾向が強かった。この書籍では、直観に頼りすぎず、人々の行動の様式を体系的に測定することを強く促す。組織リーダーが、組織を正しく安定的に「統制」していくためには、組織の行動を適切に、「説明」できなければならず、その行動を正しく「予測」することができなければ、適切な「統制」、つまり組織における優れたリーダーシップを発揮することは困難になるであろう

50歳の時に起業してからこの8年間、この組織行動におけるリーダーシップについてのモデルを考え続けて生きている。その検証の場として、企業研修や大学の講義で試行的に提示している「リーダーシップポジション分析」と、独自に呼称しているモデルがある。このコラムでも何度か、大学の講義で取り上げている事例を紹介した。組織に対する自らの行動様式を、積極的に参加するか受動的に関わる傾向があるかのいずれかの軸と、組織活動自体をけん引していくか、調整していくかの軸の2軸で、4つの象限に行動様式を分類する。その後、判断・思考様式として、自らの考えや価値基準に固定的にとらえて判断するか、他の人意見や環境に柔軟に自らの考えを変化させるかの軸と、最終的な結論出しに論理的な筋道を大切にするか、他の組織メンバーの感情や気持ちを優先するかの軸で4つの象限に分類する。その結果16通りの分類軸ができることになる。言葉で表現すると想像しづらいかもしれない。この16象限の区分を大きく4等分にして、リーダーシップの特徴的なカテゴリーを定めている。

企業研修でも、大学の講義においてもできるだけ可能な限りグループ討議やグループワーク(作業)の時間を組み入れている。グループ教材による学びも大切な観点だが、その小集団の活動自体でどのような行動や判断をとったのかを自分自身で振り返ることはより貴重な経験でもある。たとへば、ゴルフのホールごと、ミドルホール(4打でホールにボールを入れる基準のホール)であれば、一打目をドライバーで方向重視でフェアウエイ―に置いたものの、距離を残した2打目で長いクラブをもち、右に曲げ、深いバンカーに落とし、高い壁に阻まれ、4打目で、やっとグリーンにのせ、気持ちが切れてパッティングを3パットしてしまい、結局、パー4のホールを7打(トリ)で終わり、肩を落とすようなことが私にはよくある。もちろん次のホールに向けて気分を切りなおすることが大切なのだが、ホールの後、あるいはラウンド終了後、自らのクラブ選択やコースマネジメントについて、自らの行動や判断・思考を振り返ることは技術のみならず総合的な技量を磨いていく上では大切なプロセスであろうと信じているので、自己レビューを研修でも講義でも取り入れるようになった。

話を戻し、リーダーシップの分類でいくと、組織における行動様式と意思決定における判断・思考様式の二軸で自己の小集団でのリーダーシップの様式を分析すると、次の4つのカテゴリーに分類される。①司令官型リーダーシップ、②親方型リーダーシップ、③参謀型リーダーシップ、④支援型リーダーシップ <①Commander Leadership /② Master Leadership / ③Bureaucratic Leader / ④Servant Leadership>に分けて自身の小集団活動を振り返る。

この話をしていたら、大学院の友人から、司令官型のリーダーシップは、「トランザクションリーダーシップ(報酬と罰を利用して人々をけん引していく)」、親方方のリーダーシップは、「トランスフォーメーションリーダーシップ(カリスマ型で人間味で人をけん引していく)」、参謀型リーダーシップは、「オーセンティックリーダーシップ(自他他者に公平で、典拠に基づいた基軸を元に人々をけん引していく)」、支援型は、「サーバントリーダーシップ(共感や癒し、他者への奉仕の精神で人々をけん引していく)」というそれぞれの類似したリーダーシップ理論の表現が近いのではとアドバイスを得て、また自分の経験値の積み上げでしかたなかったリーダーシップの分析の考え方が深まる。(次週に続く)

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

竹内 上人

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