目白からの便り

新しい働き方、ニュータイプの萌芽

この時期の松本は、晴天が多く、特に今週は青空に恵まれた。北アルプスの稜線は、時折かすむような湿り気で覆われ、日中の気温が上がっていくことを予感させる。早朝も冷気を感じない。確実に夏に向かって季節は移り変わっている。

仕事や交友関係の中で、インターネットを経由してのコミュニケーションの機会が日常的になってきている。大学の講義、打ち合わせ・会議、面接など、対人的な接点の場が圧倒的にITを媒体とすることとなった。移動時間が極端に少なくなり、また会議などの開始時間も、デジタル空間では定刻通り始まり、定刻通り終了する。便利で、すっきりした効用も多い。

このようなコミュニケーションの進め方が、しばらく続くといつしかそれが習慣化してくるのがわかる。緊急事態宣言が終息し、この後、幾度か行動の制約を余儀なくされる時期に向き合うことになると予測するが、その後の日常においても、果たして従来のような働き方や学び方のスタイルに戻るのかというと、後戻りはできないのだろうと思う。

今回の新型コロナの影響で、雇用の現場や働き方はその性格を大きく変容させつつある。あらゆるモノづくりの現場、価値創造や加工の職場で、自動化・省人化の取り組みが進む。人事管理についても、適材・適所・適時・適量供給の発想が、「内部(社内)労働市場」から「外部労働市場」との協業・共有のハイブリッド化が加速する。そして、長年その堅牢さを誇ってきた日本的人事システムの骨格である「職能給」が「職務給」へ、「就社型」から「就職型」へと枠組みが変容するだろう。今後は、より個人のキャリアの専門性が問われることになる。

働き手にとって、意識の変化が求められる。若い世代は新しいデジタル環境での学習スタイルに慣れてくる。孤立した環境でも仲間とつながり共感関係を構築する。その結果、こうしたニュータイプ、新種の次世代人は従来とは異なる就労意識や価値観を働く職場に持ち込む。彼らが生み出す新し価値のアイデアやスタイルの供給、変革は加速度を増すだろう。その反面でデジタルが進むほど、きっと、人間的な関係づくりの補完機能としての感受性能力の要求が高まってくる。それは企業内のコミュニケーションだけでなく、小売りなどにおける接客や、医療、介護、あらゆる分野で変化する。新しい枠組みの中で、ニュータイプの人口比率が高まる日はそう遠くなく、彼女ら、彼らを期待をもって歓迎したい。

今日一日が良い一日となりますように、深い悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。今向き合っている困難を克服する取り組みに灯りがともりますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

2020年5月15日 松本にて 竹内上人

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