目白からの便り

感情読解力と感受力の大切さ

今朝の都内は雨が強く降り続けている。低気圧の影響で大雨の予想でもある。被災地での復旧が続く中での降雨で、その地にいる方々の不安を想う。

今日は午後から長野市にある信州大学の工学部のキャンパスで企業人事の方を対象にした高度外国人材の雇用環境整備に関する講義と実践的なワークショップを行う。人事部門が今後の人口構造の変化推移と雇用環境の予測を分析し、どのようにトップマネジメントの経営課題認識につなげるかの実務者としての展開施策について考えていく場である。

長野市周辺は過日の千曲川の氾濫で、甚大な被災を受けている地でもある。少しでも平常な日常の中で次の時代の雇用環境と社会基盤の主要な担い手である外国人材の雇用について積極的な想いを具体的な人事施策へつなげる場としたい。この週報をお送りしている方の中には、私と同じ人事領域で職務を担っている方も多い。ご関心がある方は連絡をいただければと願う。

10月からスタートした大学での後期講座では、IQ(知能指数)の反対側に対峙するEQ(Emotional Intelligence Quotient:感情指数)をベースにおき、リーダーシップやコミュニケーション、チームビルディングに関連した講座をいくつかスタートさせている。

EQを8つに分解した感情のコンピテンシー(能力)について、自らの行動パターンをレビューしながら自分のものにしていく。その最初に学ぶ感情コンピテンシーが、「感情の読解力( Enhance Emotional Literacy)」 という自分自身の感情について、単純な感情状態から複雑なものまで、正確に認識し、解釈する感情の能力である。

仕事において、部下をマネジメントし、実務能力を場面、場面で適切に活用するために、自分の感情の状態をコントロールにできるか否か大切な分岐点でもある。その為に第一に自分の感情が、その時どのような状態になっているかを、冷静に、正確に、客観的に把握することが求められる。仕事だけではなく、人生のあらゆる場面においても、自分の感情と相手の感情を感受することは、相互理解の第一歩でもある。自分の感情が自己の管理下に置かれず、本能のまま発信されてしまうことの危うさを避けるための能力である。

山に登るときの判断も非常に難しいものであるが、山の中腹の雲の上にはどのような空間が存在しているかということを冷静に見極めることによって安全な登山ができる。登山では、地図を読む力である読図力や天気図を読みこむ力があれば、適切な判断で、適切な行動をとることができる。感情においても同じようなことがいえる。自分自身の感情の地形図に、移り変わる感情の天気図を重ねて、瞬時に正しく読み取る力(感情読解力:リテラシー)があれば、快適な、職業生活を楽しむことができるというものだ。

自分自身の感情の中身を冷静に知ること、自分の周囲にいる職場やお客様との接客の場面において、気持ちの中にある感情の変化を適切に知る力は、次の正しい行動をとる上での前提条件になる。

今回のような広い地域にわたって被災した方々の気持ちや感情を異なる場所で日常生活や仕事に従事する者が、時空を超えて感受することは、その人の一日に言動に何か大きな、そして大切な違いをもたらすのだと思う。

今日一日が良い一日となりますように、深い悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって、豊かな一週間でありますように。

渋谷 表参道にて 竹内上人

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